RPAが導入される社会におけるエンジニアの価値について考えてみた

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概要

こんにちは。サイオステクノロジー 有村です。
今日はRPA(Robotic Process Automation)のセミナーを受講してきました。
そこでRPAが導入される社会におけるエンジニアとしての価値について考えてみました。

RPAとは

RPAとはロボットによる業務自動化のことです。
すでに工場のライン業務など、ものづくりの現場ではロボットの導入が当然のものとして進んでいます。そういったロボットは機械の延長線上にあり、もともと人間がやっていた業務を自動化によって正確・短時間に実行することを目的に作られてきました。
ものづくりの現場のロボットをハードウェアのロボットと考えれば、RPAはソフトウェアのロボットです。アンケートの集計・システムへの登録作業や受信したメールに基づく発注作業など、定型的な作業の自動化を実現します。もちろん人がやるのと違い正確無比で短時間かつ24時間365日の業務の遂行を実現します。
定型的な作業に無縁なエンジニアの方はSeleniumやAppiumがより高機能になり、OfficeアプリケーションやOSの機能のレベルでも動作する様子を想像してもらえればわかりやすいと思います。

RPAが発達する・導入される背景

現在RPAが発達し、導入する企業が増えている背景には、まず少子高齢化社会があります。
単純に労働力が足りず、人手不足での倒産もある社会では、限られた労働力で生産性を向上させる必要があります。
現場をサポートできるIT人材の不足もさらに広がっています。
つまり、IT人材やエンジニアに頼らずに現場で対応するための手段としても、RPAが導入されるようになりつつあります。
他にも以下のような働き方に関する社会状況の変化があり、特に日本では国産のRPAツールが多く開発されているようです。

  • 過労死・過労自殺の社会問題化
  • 非正規雇用の社会格差の問題
  • 異常な長時間労働を是正するための取り組み
  • 裁量労働制の拡大を止めるための取り組み
  • ブラック企業の企業名公表
  • ハラスメントなどのコンプライアンスの問題
  • 単純作業労働者として使われる外国人技能実習生の労働問題・人権問題

国際労働機関はディーセント・ワーク(人間らしい労働)の実現を各国政府に呼びかけており、日本でも労働問題における社会正義の実現は今後も進むものと思われます。
2020年にプログラミングが必修になりますが、そういった教育を経たデジタルネイティブ世代が単純作業を避け、単純作業を自動化しない会社に定着しない可能性なども考えられているようです。
RPAはロボットであり、今のところ人間の感情などを理解して動作することも求められていないため、こういった問題とは無関係な労働力として、今後も導入が進むと思われます。

RPAが導入される業務

改善活動において、3Mという考え方があります。3Mは以下の3つです。

  • ムダ:あえて人がやる必要がない業務
  • ムラ:ばらつき、仕事量の偏り
  • ムリ:能力を越えた仕事量

この3Mに当てはまる業務がRPAが導入される業務です。
実際には以下のような業務に利用されています。

  • アンケート集計作業:紙のアンケート用紙をOCR処理し、集計もしくはシステム転記
  • 未連携システム間の情報転記作業:Webからセミナーの申し込みがあった際に申し込み顧客情報を別システムへ転記
  • メールからDB情報の書き換え作業:応募メールからIDを照合し、変更が必要なIDのDB情報を自動変更

以下のような現場のストレスになっている業務、現場のストレスを軽減するための業務を集めて自動化していくことが推奨されています。

  • 手間だけどやらざるを得ない業務
  • やりたいけど手間がかかるから手がつけられない業務
  • 今はできていないけど、こんなことができたらいいなと思う業務

RPAが失敗するパターン・不得意な領域

RPAの導入における失敗例もあります。

  • 価格だけでツールを選択し、うまく作れずにツールを変更する羽目になった
  • 他人と全く同じ工程でロボットの手順を作成し、機能的な理解がないため新たな手順を作れず、つまづく
  • いきなり大きな業務の手順の作成にとりかかり、複雑過ぎて挫折
  • SIerに作ってもらったロボットしか動作しておらず、現場レベルで新たに作成できない
  • 「向く」と「出来る」を取り違えていて、向いていないものの自動化で失敗作ができる
  • なんでもできると期待しすぎていて、失望した
  • 簡単と思って純粋な独学のみで失敗

なにかと似ていると思った方もいると思います。
そうです。これはプログラミングやシステムエンジニアリングを始めた人の失敗談に似ているんです。
非IT企業もRPAを通して、エンジニアリングに挑戦していると言ってもいいかもしれません。

不得意な領域ですが、一般的なRPAツールは今のところ高度なAIを利用しているわけではないようですので、例えば問い合わせに対して相手の感情表現に配慮した高度な自動返信をするようなことは実現できません。
当然ながら、デザインや創作、もちろんプログラミングや基本設計・詳細設計もできません。
そういった高度な分野は、RPAではなく、高度なAIと競う部分になると思います。

RPAが導入される社会でエンジニアとしてうまく生きるには

これまでの内容からもわかる通り、RPAにおけるロボットはなにかを思考するわけではありません。
思考といえるほど複雑な手順作成はある意味AIプログラミングに近い高度なものです。
エンジニアは思考して高品質な仕事を仕上げなければいけません。
また、RPAのエンジニアリングによって解決されるような単純作業の自動化には今後需要がなくなっていくと思われます。
技術者としてのモチベーションを持って、課題解決の中で必要な知識に気付いて、自ら学習していく必要があります。

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About 有村 悠希 5 Articles
認証基盤、ID管理システムのサポートエンジニア。
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