使ってみよう Zabbix⑦ : テンプレート編

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こんにちは。サイオステクノロジー OSS サポート担当 山本 です。

シリーズっぽくやってきました今回の一連の記事ですが、今回で最終回です。

前回まででインストールから監視、自動通知などの設定を一通り見てきました。ので、今回の内容は知らなくても監視設定を行なえます。ただ、知っておくと環境によっては設定が楽になる…かもしれない、そんな機能のうちの一つを紹介します。

■テンプレート:ホスト間で共通の設定を行うための機能

前回までで一つの「ホスト」を登録して、そのホストに対して「アイテム」と「トリガー」を設定して…という形で監視設定を行なってきました。ところで、「ホスト」が複数ある場合、どうやって設定すればよいのでしょう?

答えは簡単、それぞれのホストで一つずつ設定するのです!

……それではあまりに面倒です。設定殆ど同じなのに…という場合は深い悲しみに包まれることもあるでしょう。そんな場合にはテンプレートの出番です。

早速テンプレートの設定方法を見ていきましょう。テンプレートも Web インターフェースから設定します。

設定画面を開くには、画面上部の「設定」、その下の行に出る「テンプレート」と選択していきます。

template1

開きましたテンプレート一覧画面、デフォルトで多数のテンプレートが登録されているはずですが、画面の構成は基本的にこれまでの一覧画面と同じです。画面の下には一覧があり、右上には新規作成のための「テンプレートの作成」ボタンがあります。今回もいつもどおり、「テンプレートの作成」から新しいテンプレートを作成してみましょう。

template2

作成画面では以下の項目を設定しましょう。「テンプレート名」だけ入力すれば登録することができます。

テンプレート名 : (任意)

template_setting1

設定できたら、画面下部の「追加」ボタンを押下しましょう。

テンプレート一覧に戻り、作成したテンプレートが追加されているはずです。

template3

■テンプレートの中身の設定

名前を設定するだけで簡単にテンプレートを作成することができましたが、このテンプレートには当然まだ中身が何もありません。テンプレートの役目を果たすためには、「テンプレートとして複数のホストに共通で登録したいアイテムやトリガーなど」をテンプレートに登録する必要があります。

さて、その登録方法ですが…ところでこのテンプレート一覧、どこか見覚えがありませんか?

template4

そう、ホストの一覧に似ていますね。

host1

テンプレートのアイテムやトリガーなどを設定する手順は、(テンプレート画面を起点に行うという点以外は) ホストでの設定手順と同じなのです。テンプレートにアイテムを登録したければ、アイテムを登録するテンプレートの行の「アイテム」のリンクをクリックして…といった具合ですね。

試しに、作成したテンプレートに以下のアイテムを追加してみてください。

名前 : (任意)
タイプ : Zabbixエージェント
キー : system.cpu.load[,avg15]
データ型 : 数値 (浮動小数)

template_item1

アイテムやトリガーの詳細な設定手順に関しては、以前の回を参照してください!

使ってみよう Zabbix④ : アイテム設定編
使ってみよう Zabbix⑤ : トリガー設定編

■テンプレートをホストに適用する

これでテンプレートの準備が整いました。しかしテンプレートを準備するだけでは何も起こりません。これはあくまで「どういった監視をするか」の設定であり、「どこから」の部分が抜けているからです。

では、「どこから」に相当する部分、つまりホストにこのテンプレートを適用して、そのホストにテンプレートで設定した監視設定などを追加する方法を確認しましょう。

画面上部の「設定」、その下の行に出る「ホスト」と選択し、お馴染みのホスト一覧画面を開いてください。更に、テンプレートを適用したいホストの「名前」をクリックし、ホストの編集画面に移ります。

host2

ホストの編集画面では上部の「テンプレート」タブをクリックして、テンプレートの設定項目を表示させます。そして、以下の項目を設定します。

テンプレートとのリンク : (適用したいテンプレート名)
(※項目「新規テンプレートをリンク」に適用したいテンプレート名を入力し、項目内の「追加」をクリックすることで追加できます。)

host_setting1
host_setting2

設定できたら、画面下部の「更新」ボタンを押下しましょう。

ホスト一覧画面に戻ると、設定を行なったホストの「テンプレート」の項目に、設定したテンプレート名が表示されているはずです。また、アイテムやトリガーなどの数が、テンプレートに登録されていたそれらの数だけ増加しているはずです。

host3

■テンプレートで追加されたアイテムなどについて

アイテムを例に取って、テンプレートで追加された項目を確認してみましょう。

まずはテンプレートで追加したアイテムのデータが取れているかを確認しましょう。画面上部で「監視データ」「最新データ」と選択し、最新データ画面を開いてください。
適当なフィルタを設定してテンプレートを適用したホストの最新データを表示すると、テンプレートによって追加されたアイテムのデータも取得できているはずです。

latest1

次は、テンプレートを追加したホストのアイテム一覧画面を開いてください。

item1

見てのとおり、テンプレートで追加されたアイテムは「<テンプレート名>:<テンプレートで登録されたアイテムの名前>」という形で登録されています。どれがテンプレートのアイテムなのか、一目瞭然ですね。
ここで <テンプレート名> をクリックすると、そのテンプレートのアイテム一覧画面に移ることができます。

一方、アイテムの名前をクリックすると通常通りそのアイテムの編集画面に移ることができますが、殆どの項目は変更不能な状態になっています。

item_setting1

このアイテムの設定を変更する場合、テンプレートのアイテム設定画面から設定変更を行います。テンプレートのアイテムの設定を変更した場合、そのテンプレートをリンクしている全てのホストに変更が適用されます。また、テンプレートで新規のアイテムを作成した場合も同様に、そのテンプレートをリンクしている全てのホストにそのアイテムが追加されます。

template_item2
item2

■テンプレートの注意点

このように、多数のホストを管理する場合に設定の手間を大幅に減らすことができる可能性のあるテンプレート機能ですが、少し気を付けてほしいことがあります。

それは、「余計なテンプレートを適用しない」ということです。

Zabbix は監視データなどをデータベースに保存しますが、監視設定を増やしすぎた結果 diskfull になった…というケースは稀によくあります。特に、一気に多数の設定を適用できるテンプレートについては、ラクだからと一つのテンプレートに全ての設定を纏めてしまい、本来適用する必要のないアイテムなども纏めて全てのホストに適用してしまうなどという事態が起こりかねません。

可能であれば、設定内容ごとに適切にテンプレートを分割して管理するようにしましょう。(データの保存期間を適切に設定することも忘れずに!)

■この画面の補足

最後に、今回の操作に関連する補足です。

Zabbix 4.0 での変更点

・(テンプレート設定画面) : ホストへの適用を設定する項目が削除された。

・(全ての設定・編集画面) : 入力必須の項目に必須マークがついた。

・(全ての設定・編集画面など) : 編集画面の「選択」ボタンなどで表示される別画面が、「新規ポップアップウィンドウ」から「モーダルウィンドウ」に変更。

■さいごに

今回はちょっと便利な機能の一つ、テンプレートについて見ていきました。

マクロ機能と組み合わせればホスト毎に微妙に違う設定である場合にも対応できたり、ホストの自動登録関連の機能と組み合わせて使ったりと活用の幅は広い機能なので、本格的に運用する場合には是非とも上手く利用したいところです。

…聞いたこともない機能の話が出てきている?はい、基本的な監視設定はこれまでで見てきましたが、Zabbix にはまだ他にもいろいろな機能があります。「使ってみようかな…」と思えた方は、公式ドキュメントなどを確認しながら自分にあった使用方法を探してみてください。

長く続いたこの「使ってみよう Zabbix」の一連の記事、これにて終了です。
このような「監視ツール」はいくつかありますが、Zabbix は「ユーザーインターフェース・公式ドキュメントが充実している」「単体でグラフィカルな表示機能や API など様々な機能を有する」などといった強みがあるのではないか、と個人的には考えています。他にも色々な強みはあると思いますが、そこは是非とも使いながら感じ取ってみてください。
それでは。

関連記事

使ってみよう Zabbix① : インストール編
使ってみよう Zabbix② : ユーザー設定編
使ってみよう Zabbix③ : ホスト設定編
使ってみよう Zabbix④ : アイテム設定編
使ってみよう Zabbix⑤ : トリガー設定編
使ってみよう Zabbix⑥ : アクション設定編
・使ってみよう Zabbix⑦ : テンプレート編 (※今回)

ZabbixはZabbix LLCの登録商標です。

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About 山本 53 Articles
元サーバサイドエンジニアのサポートエンジニア。「物事は理解できれば活路が見出せる可能性がある」という信条のもと、今日も石橋を叩く。
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