こんにちは。サイオステクノロジー OSS サポート担当 山本 です。
4回目となりました Zabbix の入門記事、そろそろ「入門なのに長すぎない?」と言われている頃かもしれませんが、まだもうちょっとだけ続きます。
前回は「どこから」データを取得するのか、という設定である「ホスト」の設定を見てきました。
今回はそこに「どんな」データを取得するのかを設定し、データを取得できるようにしていきます。
目次
■アイテム:「どのような」データを収集するのかの設定
今回は「どのような」の部分を担当する、「アイテム」の設定方法を見ていきます。
いつもの Web インターフェースから設定していきましょう。
画面上部の「設定」、その下の行に出る「ホスト」と選択していきます。前回設定した「ホスト」の一覧画面ですね。この画面の下の方にホストの一覧が表示されているのですが、今回はその中から前回登録したホストの行の「アイテム」という項目をクリックしてみてください。
そうすると…
その「ホスト」用のアイテム一覧画面が表示されます。
ではアイテムを作成していきましょう。例によって、画面の右上のほうに「アイテムの作成」ボタンがありますので、これを押下しましょう。
開いた画面では以下の項目を設定します。今回は Zabbix エージェントを使って、ロードアベレージを取得する設定です。設定画面が縦長で画像は見切れていますが、今回設定するのは上の方の項目だけです。
名前 : (任意)
タイプ : Zabbixエージェント
キー : system.cpu.load
データ型 : 数値 (浮動小数)
「キー」の項目は右側の「選択」ボタンからも選択することも可能で、このボタンを押して表示されるモーダルウィンドウは「タイプ」に応じたキーとその監視内容の概要の一覧が表示される非常に便利なものとなっています。ぜひ一度、確認してみてください。「キー」の設定についてより詳細に知りたい場合は、以下のページを参照してください。
https://www.zabbix.com/documentation/4.0/manual/config/items/itemtypes
(※「キー」で監視内容が決定しない「タイプ」を選択した場合、「キー」の「設定」ボタンは無効化されます。)
以上が設定できたら (見切れてしまっていますが) 画面下部の「追加」ボタンを押下しましょう。
アイテム一覧画面に戻り、作成したアイテムが追加されているはずです。
これでアイテムの登録は完了です。
基本的な流れはこれまでに見てきた「ユーザー」「ホスト」と似通っていますね。
この「アイテム」についてもやはり、一覧画面の下部にある一覧で左側にある項目「名前」をクリックするとそのアイテムの編集が可能で、一番左のチェックボックスにチェックを入れると一括処理を行なうこともできます。(今回は特に必要はないので行ないません)
■取得したデータの確認
これで「どこから」「どのような」データを取得するか、を設定することができました。そうなると、もうデータが取れているはずです。折角ですから、実際にデータが取れているかどうか確認しましょう。
画面上部の「監視データ」、その下の行に出る「最新データ」と選択していきます。
この画面は「アイテム」毎の、一番最近に受信したデータを表示する画面です。と言っても、絞り込みをしないと何も表示しないようになっていますので、まずは画面真ん中のフィルタで「ホスト」の項目に前回登録したホスト名を入力し、「適用」ボタンを押してみましょう。
どうでしょう?作成したアイテムが表示されましたか?もしデータが上手く取得できていれば、「最新のチェック時刻」「最新の値」の項目に何か値が入っているはずです。この画面で確認できるのはあくまで最新の値のみなので、これまでにどんなデータを取得したかを確認したい場合は、その行の一番右の「グラフ」 (※データ型が数値でない場合は「ヒストリ」) をクリックすると、そのアイテムの履歴を確認する画面に移ることができます。
もし最新データ画面で「最新のチェック時刻」「最新の値」の項目に何も値が入っていない場合、そのアイテムのデータはまだ取得できていません。このような場合は、「アイテム」の設定を行なってから実際にデータが取得できるまでは多少時間がかかるので、まずは落ち着いて数分待ってみましょう。数分待ってもデータの取れる気配がない場合、どこかの設定が間違っている可能性があります。これまでに行なった設定が間違っていないか、または Zabbix のログ (/var/log/zabbix/ 内にあります) に異常が記録されていないか、あるいはもっと別の何かが発生していないかなどを確認してみてください。
■この画面の補足
最後に、今回の操作に関連する補足です。
「Zabbix エージェント」と「Zabbix エージェント(アクティブ)」
いずれも「アイテム」設定の「タイプ」の一つで、データの取得方法に違いがあります。
「Zabbix エージェント」では、Zabbix サーバーが定期的に監視対象の Zabbix エージェントに対して設定どおりのデータを送信するように命令します。
「Zabbix エージェント(アクティブ)」では、予め設定を受け取った Zabbix エージェントが、設定どおりにデータが取得できるか確認し、取得できたデータを Zabbix サーバーに送信します。
設定できるキー (≒取得できるデータ) の内容は殆ど同じですが、「ログ」関連など一部のキーは「Zabbix エージェント(アクティブ)」でのみ設定することができます。
Zabbix 4.0 での変更点
・(アイテム設定画面) : 新規アイテムタイプの2種の追加。HTTP 監視を行う「HTTPエージェント」と、別のアイテムのコピーデータである「依存アイテム」が追加
・(アイテム設定画面) : 取得したデータをデータベースに保存する前に加工する項目を、新規タブ「保存前処理」の中に統合
・(アイテム設定画面) : 即座にアイテムの取得リクエストを送信する、「監視データ取得」ボタンの追加 (※パッシブ系のアイテムのみで使用可能)
・(アイテム設定画面) : 一部キーの機能追加など
・(グラフ画面など) : 表示期間の範囲を選択する UI を大幅改善 (以下の画像は Zabbix3.0 の「グラフ」画面)
・(全ての設定・編集画面) : 入力必須の項目に必須マークがついた
・(全ての設定・編集画面など) : 編集画面の「選択」ボタンなどで表示される別画面が、「新規ポップアップウィンドウ」から「モーダルウィンドウ」に変更
■さいごに
今回は Zabbix Web インターフェースのアイテム設定関連を見ていきました。
「ホスト」と「アイテム」を設定することで、監視データを取得することができるようになりました。Web GUI 一つで色々な箇所から収集したデータを確認することができるのは、管理するサーバー台数が多いなどの都合がある場合はそれだけで結構便利だと思います。
ですが、今はまだ「データを見ることができるようになった」だけです。次回は更に、「異常が発生した」ことを表示できるようにしていきましょう!
関連記事
・使ってみよう Zabbix① : インストール編
・使ってみよう Zabbix② : ユーザー設定編
・使ってみよう Zabbix③ : ホスト設定編
・使ってみよう Zabbix④ : アイテム設定編 (※今回)
・使ってみよう Zabbix⑤ : トリガー設定編
・使ってみよう Zabbix⑥ : アクション設定編
・使ってみよう Zabbix⑦ : テンプレート編