第3回: MySQL on Azure
こんにちは、赤井です。
第3回は、予告しましたようにMySQLについて取り上げます。
MySQLといえば、世界でもっとも普及している、オープンソースデータベースです。さらに最近では、クラウド上でもっとも人気のあるオープンソースデータベースです。Webアプリケーションを開発するときのデファクトスタンダードといってもいいでしょう。
MySQLについてご存知の方も多いと思いますが、その特徴といえば、次のことがあげれます。
1. マルチプラットフォーム対応
Windows, Linux, Solaris, macOS, FreeBSDなど。詳しくは、こちらをご覧ください。
2. 高性能、軽量、高信頼
特にOLTP系の処理が得意です。
3. 導入や運用の容易性
ダウンロードからデータベース起動まで15分以内とうたっていますが、実際は、5分程度で起動できると思います。
Azureポータルには、マネージドサービスプロバイダーであるClearDB社が用意したMySQLイメージがあります。
- ClearDB社が用意したMySQLイメージを利用する方法
https://azure.microsoft.com/ja-jp/documentation/articles/store-php-create-mysql-database/
それ以外に、適切な場所からMySQLをダウンロードして利用することができます。
個人的な好みによるのですが、わたしは、適切な場所からMySQLをダウンロードして利用する方法をお勧めしています。
なぜなら、MySQLというと無償で利用できるMySQL Server Community Edition の最新版を利用するには、MySQL Developer Zone(https://dev.mysql.com/) からダウンロードする必要があること(たいてい、他の場所で提供されているMySQLは古いバージョンのものが多いです)です。
また、有償のサービスが必要になったときは、MySQL Enterprise Edition を導入するためには、オラクル社のサイトから製品版バイナリをダウンロードして利用する必要があるからです。
ちなみに、MySQL Enterprise Editionは、データベースの基本機能のサポート以外にも、MySQL Enterprise Monitor (複数サーバの一括管理や性能管理), MySQL Enterprise Backup (高速なオンラインバックアップ),MySQL Enterprise Audit (ユーザー処理の監査), MySQL Enterprise Firewall (SQLインジェクション対策) などの機能を持っています。これらについては、第4回以降で紹介します。
MySQLのインストールの基本的な流れ
インストール手法によって具体的な手順に違いはありますが、以下の様な流れになります。
1. MySQLのダウンロード
- MySQL Developer Zone(https://dev.mysql.com/) へアクセスします。
- MySQL Server Community Edition以外にMySQL Cluster Community EditionなどのCommunity Editionの製品をダウンロード可能です。また、GA(製品版)だけでなく、DMR(開発途上版)、RC(リリース候補版)もダウンロードできます。
- OS、ビット数、インストール形式(.rpm、.tar.gzなど)を選択して、適切なパッケージをダウンロードします。
2. MySQLのインストール(モジュールの配置)
3. 設定ファイル作成(my.cnf/my.ini)
4. データベースの作成
5. その他の設定(パスの追加、サービス登録など)
インストール手法の大きな違いを下の表にまとめました。
インストーラ (Windows) |
zipファイル(Windows) | yum (Linux) |
rpm (Linux) |
tar (Linux) |
|
MySQLの インストール |
自動 | 手動 | 自動 | 自動 | 手動 |
設定ファイル作成 | 自動 (ウィザードにより一部の 設定値を指定可能) |
手動 | 自動 | 自動 | 手動 |
DB作成 | 自動 | 手動 | 自動 | 自動 | 手動 |
MySQL Serverの rootユーザーの 初期パスワード |
ウィザードで指定 | データベース作成方法に依存 | ランダム | ランダム | DB作成 方法に依存 |
パスワード検証 プラグイン |
無効 | 無効 | 有効 | 有効 | 無効 |
SSL設定 | 手動(OpenSSLのセットアップも必要) | 手動(OpenSSLのセットアップも必要) | 自動 | 自動 | 手動 |
サービス登録 | 自動登録 | 手動登録 | 自動登録 | 自動登録 | 手動登録 |
その他 | [すべてのプログラム]にMySQLが追加される(コマンドラインクライアントを起動できる) | mysqlユーザー(MySQL Server起動用のユーザー)が自動作成されるが、ログインできない状態(ログインシェルが/bin/false) | mysqlユーザー(MySQL Server起動用のユーザー)が自動作成されるが、ログインできない状態(ログインシェルが/bin/false) |
Azure上でMySQLを利用するには、まず、これらの流れを理解してください。
第5回は、実際に、Azure上にMySQLをインストールする手順を紹介します。お楽しみに!
→ 連載第5回 「OSS on Azureことはじめ -MySQLのお話 # more 」 はこちらから
第4回は、少し路線を変えて、OSS on Azure 非公式コミュニティの第1回ミートアップの現地潜入レポートをお届けします。
→ 連載第4回 「OSS on Azure 非公式コミュニティ」 ミートアップ潜入レポート はこちらから
著者:
赤井 誠
MKTインターナショナル株式会社
代表取締役 経営学修士 キャリア・デベロプメント・アドバイザー
日本ヒューレット・パッカード株式会社にて、ソフトウェアR&Dとして勤務後、Linux事業担当し、国内大手サーバーベンダーで最下位であったLinuxサーバービジネスを国内首位に押し上げる。また、HP社でのグローバルでのLinux販売実績で1位を獲得。ハイパフォーマンスコンピューティング部門(スパコンビジネス)の担当も兼任。x86 サーバーでのハイパフォーマンスコンピューティングで、サーバーシェア1位を5年連続獲得。その他、Windows Server、VMWare、HP Insight Softwareビジネスのリードも兼任。Windows ビジネスでは、アジアパフィック部門でMVPを獲得。また、VMWareビジネスでは、VMWare社日本法人のThe OEM Partner of the year 2年連続獲得に貢献。『できるRPO MySQL』(インプレス)、『リーダーにカリスマ性はいらない』(KADOKAW/中経) 他、著書多数。