2018 北東アジア OSS 推進フォーラム 参加レポート

こんにちは。サイオステクノロジー OSS サポート担当何敏欽です。

第17回 北東アジア OSS 推進フォーラムが 2018年11月14日(水)~16日(金)の 3日間、横浜で開催されました。北東アジア OSS 推進フォーラムは、2004年 4月に北京で第 1回フォーラムを開催し、今回は第 17回目の開催となりました。過去十数年間、3カ国間の良好な技術的なコミュニケーションが行われ、オープンソース技術や評価、人材育成などは大幅な進歩を遂げています。

サイオステクノロジーは日本 OSS 推進フォーラムの会員であり、本大会の運営をサポートしました。私は、2日目 (11/15) の本大会の基調講演に参加してきました。基本的には一般参加と同様にイベントに参加していましたが、適宜中国からのゲストへのケア、コミュニケーション支援を行っていました。

■全体プログラム

09:00~10:00 開催挨拶、各国局長 (司長) の基調講演

10:00~11:00 各国議長の基調講演

11:00~12:00 OSS 貢献者賞及び特別貢献者賞表彰式、記念撮影、受賞者の挨拶

       講演者
       日本 (吉田 行男 氏)
       中国 (GUO Jiakai 氏)
       韓国 (OH Jaewoong 氏)

13:30~14:10 WG 報告

       WG1 (技術開発・評価) (鈴木友峰 氏)
       WG2 (人材育成) (三浦広志 氏)
       WG3 (標準化・認証研究) (野山 孝太郎 氏)
       WG4 (適用推進) (SHIM Hosung 氏)

14:10~16:40 各国最新技術、事例紹介

       講演者(日本)
       1. 三枝 忠裕 氏
       2. 高橋 千恵子 氏
       3. 河合 亮 氏

       講演者(中国)
       1. XIAO Ran 氏
       2. CUI Baoqiu 氏
       3. CHANG Lei 氏

       講演者(韓国)
       1. JUNG Yunjae 氏
       2. JANG Jinyoung 氏
       3. KIM KeunDong 氏

16:40~16:50 議長声明発表、閉会挨拶など

本大会の始めは、日中韓 3カ国の政府関係者からの講演があり、次にそれぞれの議長が OSS の普及促進に向けた活動成果や取り組みについて講演を行いました。オープンソース技術、OSS 開発の新しい方向性、日中韓の国境を越えたオープンイノベーションに焦点を当てました。

次に、各国の OSS の普及発展に功績を持つ方々の表彰 (OSS 貢献者賞受賞式) が行われ、各国 3名ずつが受賞 (OSS 特別貢献賞、OSS 技術優秀賞) されました。その後、各国の OSS 特別貢献賞の受賞者が代表として受賞のスピーチをしました。日本からは、吉田 行男 氏 (日立ソリューションズ) が、OSS の歴史と未来、OSS を使用した領域の拡張 (仮想化、クラウド、ビッグデータ) を紹介し、OSS はデジタル変換の原動力であると述べました。

午後は、日中韓の共同ワーキンググループ (WG) の成果発表と各国先進・有名企業における OSS 活用事例について が紹介されました。

本大会の最後は、日本 OSS 推進フォーラムの 吉田 正敏 議長から、今後も日本、中国、韓国が連携し、IT 産業の成長をめざし、オープンな世界を拡大し、豊かにすることを宣言しました。また、第18回 北東アジアOSS推進フォーラムが 2019年に韓国での開催が予定されていると発表しました。

■OSS 活用事例について

横浜市経済局成長戦略推進部長 三枝 忠裕 氏は、IoT や AI を活用した自動運転、高齢者の見守りや快適で健康的な暮らしの実現、観光客に対する街の回遊性向上を目指す「I・TOP横浜」を紹介しました。

日本電気株式会社に勤め、日本 OSS 推進フォーラムの副理事長である 高橋千恵子 氏は、FIWARE について主な機能や利点などを紹介し、 FIWARE Lab (無償で利用できる) で FIWARE テクノロジの学習に活用したり、都市や他の組織から公開されたオープンデータを活用しながらアプリケーションをテストすることができると紹介しました。

株式会社日立製作所の 河合 亮 氏は、Lumada について主な機能や利点などを紹介し、西日本鉄道、ダイキン工業や国際空港で Lumada を活用した事例を紹介し、OSS はソーシャルイノベーション事業の成長の鍵となる要素であると述べました。

Beijing Xiaomi Technology Co., Ltd. の CUI Baoqiu 氏は、OSS 技術優秀賞の Xiaomi オープンソース MACE について主な機能や利点などを紹介し、クラウドコンピューティングとビッグデータはオープンソースに大きく依存している、AI 時ではオープンソースがより大きな役割を果たすと述べました。

Huawei Technologies Co. Ltd. の XIAO Ran 氏は、 3カ国でオープンソースの価値を最大限に引き出し、オープンイノベーションを加速させる為に、一層の連携を求めました。AI 開発者プログラムとして、Huawei は今後の 3年間で 1,000,000 人の AI 開発者とパートナー連携を開拓すると述べました。

OUSHU Co., Ltd の CHANG Lei 氏は、Apache HAWQ (世界最速の SQL エンジン) について主な機能や利点などを紹介し、OUSHU 社におけるデータウェアハウスのベストプラクティスを詳しく紹介しました。

Openwisdow の JUNG Yunjae 氏は、OpenChain について主な機能や利点などを紹介し、韓国におけるオープンイノベーション研究開発、韓国政府の研究開発政策などを紹介しました。

uEngine Solutions Co.,Ltd の JANG Jinyoung 氏は、Open Cloud Engine について主な機能や利点などを紹介し、Open Cloud Engine はクラウドネイティブアプリケーション開発のフルライフサイクルをサポートすることを目指していると述べました。

ROCKPLACE の KIM KeunDong 氏は、オープンソースデータベースの動向とオープンソースのユースケース (MySQL、PostgreSQL、MongoDB、Cassandra、Redis) を紹介しました。

■まとめ

3カ国の共通目的である「日中韓と他のアジア地域における IT 産業の成長」を実現するため、各国より様々な事例、最新技術、活用方法が紹介され、オープンソースで世界が変わっていく事を強く感じました。

今回は、第14回 北東アジアOSS推進フォーラム (日本・東京) に参加以来 2回目の参加になり、このような大きな規模の大会に参加できたことをとても嬉しく感じています。普段の業務では経験できない、日本 OSS 推進フォーラム議長や各国の局長および、エンジニアの方々からお話を伺うことができ、とても有益な時間となりました。また、各国からの先端技術の最新情報を得る機会にもなり、多くの刺激がありました。

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