こんにちはアプリチームの織田です
12月7日に開催されたOSC福岡に参加してきました。前回の広島に続き面白かった展示の紹介を行いたいと思います。前回のブログはコチラから閲覧できます。
Japanese Raspberry Pi Users Group
Japanese Raspberry Pi Users Groupさんは、Raspberry Piを駆使した様々なプロジェクトを展開しているコミュニティです。こちらの展示では、リアルタイム物体検出機能を備えた革新的な小型カメラに興味をひかれました。
このカメラの最大の特徴は、動画撮影と物体検出のプロセスを同時に行える点にあります。従来の物体検出システムでは、撮影した動画をRaspberry Pi本体やクラウド上で処理する必要がありました。しかし、この小型カメラは検出処理をカメラ側で完結させることで、Raspberry Piへの負荷を大幅に軽減し、リアルタイムでの物体認識を可能にしています。結果として、遅延の少ないスムーズな物体検出を実現しています。
この技術の応用範囲は幅広く、特にドローンやロボットといった、瞬時の判断と動作が求められる分野での活躍が期待できるかと感じました。例えば、ドローンによる空撮中にリアルタイムで障害物を検知し、自動で回避するといった機能の実装が可能になります。
Japanese Raspberry Pi Users Groupさんの展示は、Raspberry Piの可能性をさらに広げる、革新的な技術の一端を垣間見せてくれるものでした。
さくらインターネット
さくらインターネットさんは、サーバーレンタル事業を展開している企業で、特に学生や研究者にとって馴染み深い存在です。今回のOSC福岡では、新しいレンタルGPUサーバープランの紹介をされていました。
従来のプランは月額課金制で、その費用は200万円から300万円程度と高額でした。これは主に企業や団体をターゲットにしたもので、個人や研究室にとっては利用のハードルが高いものでした。しかし、今回発表された新プランは、実際にGPUを使用した時間単位での課金となるため、大幅なコスト削減が可能となりました。具体的には、モデルの種類によって価格は変動しますが、1秒あたり0.06円や0.28円といった低価格での利用が可能となっています。この従量課金制により、必要な時に必要な分だけGPUを利用できるため、「ちょっとGPUサーバー触ってみたいな~」というライトユーザーからヘビーユーザーまで、幅広い層にとって魅力的な選択肢となっています。
私自身、大学時代には研究室でGPUサーバーを利用していましたが、他のユーザーが高負荷な処理を実行すると、自分の作業に支障が出るという問題がありました。しかし、このレンタルGPUサーバーを利用すれば、そのような問題を解消し、より快適な研究環境を実現できるのではないかと期待しています。
さくらインターネットさんの新プランは、GPUを利用したいと考えている個人や研究者にとって、非常に魅力的な選択肢となるのではと感じました。これにより、GPUを使った研究や開発がより身近なものとなり、新たなイノベーションが生まれる可能性も広がると期待されます。
Divers Project
Divers Projectさんは、移動困難者が安心して街を歩けるよう、バリアフリールートを共有するアプリを開発している学生団体です。OSC福岡の展示では、開発中のアプリの詳細について紹介されていました。
このアプリの最大の特徴は、ユーザーが実際に歩いたバリアフリーな道の情報を共有できる点にあります。一般的な地図アプリでは、段差や狭い通路などの情報は表示されず、バリアフリーマークがあっても、実際に車椅子で通行できるかは分かりません。このアプリは、そうした課題を解決するために、ユーザーが実際に体験した情報を共有することで、本当にバリアフリーなルートを見つけ出すことを目指しています。
展示では、アプリのデモ画面や機能の説明があり、実際にどのようにルートを共有し、検索できるのかを体験することができました。また、開発チームのメンバーが、アプリに込めた思いや今後の展望について熱心に語っていました。彼らの「移動困難者がもっと自由に街を歩けるようにしたい」という強い思いが伝わってくる展示でした。
このアプリが普及すれば、移動困難者が安心して外出できるようになり、社会全体のバリアフリー化が進むことが期待されます。Divers Projectさんの活動は、まさに「多様な人々が共に生きる社会」を実現するための重要な一歩だと感じました。また、学生団体さんが積極的にこうした課題解決を行っている様子から非常に活力をもらいました。
南島原市DX推進コンソーシアム
南島原市DX推進コンソーシアムさんの展示は、アスパラガスの等級判定を自動化するシステムの紹介でした。アスパラガスの等級は、その先端部分の形によって決まるのですが、従来はこの選別作業を手作業で行っていたため、多くの時間と労力を要していました。
このシステムでは、アスパラガスの画像を撮影し、画像処理技術を用いて先端部分の形を分析することで、等級を自動的に判定します。具体的には、撮影された画像を白黒に変換し、アスパラガスの輪郭を抽出します。そして、その輪郭情報をもとに、アスパラガスの先端部分の形を数値化し、あらかじめ設定された基準と照らし合わせることで、等級を判定します。
展示では、実際にアスパラガスをカメラにかざして、等級を判定するデモが行われていました。このシステムの導入により、選別作業の効率化だけでなく、判定の精度向上も期待できるため、アスパラガス農家の生産性向上に大きく貢献することが期待されます。
このシステムを見た感想としては、アスパラガスだけでなく、他の農作物の等級判定にも応用できるのではないかと感じました。
余談ですが、展示に足を運んだ際に、南島原市特産のそうめんをいただきました。大変美味しいそうめんでした、ありがとうございました。
TOPPERSプロジェクト
TOPPERSプロジェクトさんの展示では、耕運機の自動運転技術の開発に焦点を当てていました。プロジェクトの目的は、中山間地における耕作放棄地の増加という深刻な問題に対処することです。中山間地では、狭くて段差のある土地が多く、大型のトラクターでの耕作が困難なケースが頻繁に見られます。一方、耕運機はそうした悪条件下でも作業が可能ですが、農業従事者の高齢化と人手不足が深刻化しているため、手動での耕運機の操作も困難になってきています。そこで、TOPPERSプロジェクトさんは耕運機の自動運転技術を開発することで、この問題の解決を目指しています。
展示では、実際に自動運転のテストを行っている様子を撮影した動画が紹介されていました。動画を見る限り、耕運機は左右の方向転換を含めて自律的に走行しており、実用化に向けて着実に進展している印象を受けました。TOPPERSプロジェクトさんの取り組みは、耕作放棄地の再生だけでなく、農業における労働力不足の解消にも大きく貢献することが期待されます。今回提案された技術が、中山間地の農業を活性化し、持続可能な農業を実現するための鍵となるかもと感じました。
感想
今回のOSC福岡も、様々な団体や企業による興味深い展示が多く、非常に刺激的なイベントでした。特に、Raspberry Piを使ったリアルタイム物体検出カメラや、さくらインターネットの従量課金制GPUサーバー、そしてバリアフリー情報共有アプリやアスパラガス等級判定システムなど、社会の課題解決に貢献するような展示が多く見られました。
これらの展示を見て、テクノロジーの進化が私たちの生活をより便利に、そして豊かにする可能性を改めて感じました。同時に、学生団体が積極的に技術を活用し、社会課題の解決に取り組んでいる姿に感銘を受けました。
今後もOSCのようなイベントを通じて、最新の技術動向に触れ、多くの人々と交流を深めていきたいと考えています。そして、私自身も技術者として、社会に貢献できるようなサービスやプロダクトの開発に携わっていきたいと改めて感じました。
最後に、OSC福岡の関係者の皆様、そして展示に参加された皆様、本当にありがとうございました。