第1回: オープンソースの代表格Linuxの話題から始めましょう
こんにちは、赤井といいます。これから、本ブログで、OSS on Azure 周辺の話題を連載させていただくことになりました。よろしくお願いします。
みなさんもご存知のように、この数年、オープンソースと距離が遠いと思われていたマイクロソフトが、さまざまなオープンソースに関する取り組みを発表しています。ここ日本においても、先月開催されたマイクロソフト主催の開発者向けイベント「de:code 2016」では、オープンソース関連のトピックが大きな話題を集め、会場に満席の入れないセッションも続出しました。
しかし、
「話題は多いけれど実際はどうなっているの?」
「オープンソースを使うだけだったら、どのサービスプロバイダーでも変わらないのでは?」
なんて声を聞くこともあります。
そこで、エンジニア初心者向け、あるいは、ビジネスパーソン向けに、OSS on Azure 周辺の基本的な話題を紹介したいと思います。
まず第1回目は、オープンソースといえば、その代表格であるLinuxについてです。
当初、マイクロソフトがオープンソースへの取り組みを進め始めたとき、Linux というOSレイヤーではなく、PHPやMySQLといったOSよりも上のレイヤーに対するものが中核だったと記憶しています。例えば、PHPをIIS(Internet Information Service)上を使って動作させることや、インストールを簡単にする仕組みとして、Web PI(Web プラットフォーム インストーラー)を提供し始めました。
- Microsoft Web Platform Installer 5.0
https://www.microsoft.com/web/downloads/platform.aspx
2010年1月にMicrosoft Azureがサービスを開始して以降は、年々、市場の要求にあわせて、OSレイヤーとなるLinuxへの取り組みを強化しています。 例えば、Linux の普及に取り組む非営利団体Linux Foundationの2012年度のLinux 開発の年次レポートでは、マイクロソフトが、Linux カーネルに貢献する企業のリストに初めて登場しています。最近では、とうとうLinuxと並ぶオープンソースOSとして有名なBSDの1つであるFreeBSDをサポートしました。
当初は、発表されていませんが、サービス開始当初は、おそらくMicrosoft Azure上の仮想マシンとしては、Windows Serverがほとんどではなかったかと思います。しかし、2016年1月の記事(広告)では、Microsoft Azure上で動く仮想マシンの25%はLinuxとなっているといいます。2014年10月、CEOサティア・ナデラ氏は、イベントで「Azureで動くVMの20%はLinux」と述べていますので、1年程度で5%も割合を増やしていることになります。
- Azureで仮想マシンの4分の1はLinuxが稼働している
https://www.publickey1.jp/blog/16/linuxpr.html
- 「Azureで動くVMの20%はLinux」、米MSがクラウド分野の最新情報を発信
https://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/14/102101542/
現在、Azure上でLinuxを利用するには2つの方法があります。1つが、MarketplaceにあるLinux ディストリビューションを利用することです。もう1つが、Hyper-Vなどで仮想ハードディスク (VHD) を作成し、Azure にアップロードし、それを仮想マシンとして利用する方法です。ただ、後者の方法は、Azure上で適切に動作するように Linuxを調整する必要があるため、初心者の方には、動作確認されている前者のMarketplaceにあるLinux ディストリビューションを利用することをお勧めします。
Amazon Web Services(AWS)をご存知の方は、AWS が提供しているAmazon Linux にあたるようなマイクロソフトが提供するLinux ディストリビューションがあると考えるかもしれません。現状では、マイクロソフトは、Amazon Linux のような独自のLinux (例えば、Azure Linux といった名称)が提供されているわけでありません。
では、どのようなLinuxディストリビューションが提供されているのでしょうか?
次回は、Marketplace にあるLinux ディストリビューションとサポートについて、紹介します。
→ 連載第2回 「OSS on Azureことはじめ – Linuxのお話# more 」 はこちらから
著者:
赤井 誠
MKTインターナショナル株式会社
代表取締役 経営学修士 キャリア・デベロプメント・アドバイザー
日本ヒューレット・パッカード株式会社にて、ソフトウェアR&Dとして勤務後、Linux事業担当し、国内大手サーバーベンダーで最下位であったLinuxサーバービジネスを国内首位に押し上げる。また、HP社でのグローバルでのLinux販売実績で1位を獲得。ハイパフォーマンスコンピューティング部門(スパコンビジネス)の担当も兼任。x86 サーバーでのハイパフォーマンスコンピューティングで、サーバーシェア1位を5年連続獲得。その他、Windows Server、VMWare、HP Insight Softwareビジネスのリードも兼任。Windows ビジネスでは、アジアパフィック部門でMVPを獲得。また、VMWareビジネスでは、VMWare社日本法人のThe OEM Partner of the year 2年連続獲得に貢献。『できるRPO MySQL』(インプレス)、『リーダーにカリスマ性はいらない』(KADOKAW/中経) 他、著書多数。