【第4回】 Linux/OSS エヴァンジェリスト古賀政純の 『オープンソース・Linux超入門』~「ミッションクリティカルシステムとオープンソース・Linux」(前編)

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今回のゲストブログは、日本ヒューレット・パッカードが公式に認定するオープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリストで、Hadoopの技術者認定資格を保有する古賀政純さんです。オープンソースにこれから取り組もうとしている方々や、もう一度基本から学びたいという方々からのご要望にお答えして、『オープンソース・Linux超入門』を連載していただいております。 第4回は、「ミッションクリティカルシステムとオープンソース・Linux」(前編)です。主に企業や公共システムなどで使われる業務用のオープンソース・Linuxが稼働するIT基盤について紹介します。 (2016年6月15日)

ミッションクリティカルシステムとオープンソースの関係をざっくり知る

今回から、IT基盤の新技術導入に関わる意思決定者や技術者向けの内容がスタートです。オープンソース・Linuxと一口にいっても、その種類は様々です。

デスクトップ用途や、スマホで採用されているオープンソース・Linuxなどもありますが、本連載では、主に企業や公共システムなどで使われる業務用のオープンソース・Linuxが稼働するIT基盤について紹介します。まずは、オープンソース・Linuxを取り巻くサーバー環境についてざっくりと見ていきます。

オープンソースの2016年

2016年現在、IT業界で注目を浴びている技術が何かご存知でしょうか?

メディアなので様々な用語が飛び交っていますが、注目されている代表的なものとしては、人工知能、インメモリビッグデータ、ハイブリッドクラウド、そして、コンテナ技術をベースとしたDevOps(Development and Operations)などがあげられます。

これらを稼働させるIT基盤技術の多くは、オープンソースソフトウェア(Open Source Software、略してOSSと呼ばれます)で構成され、そしてLinux(リナックス)と呼ばれるオペレーティングシステム(OS)で稼働します。

Linuxやオープンソースという単語自体は、IT業界において1990年代から使われている「枯れた言葉」であり、開発者の間では、「当たり前の技術」として定着していますが、それらの「当たり前の技術」が今も最先端のITを牽引すべく進化を続けています。今、話題性のある最新のITは、オープンソースが源泉であるといっても過言ではありません。

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オープンソース技術者に求められるスキル

サーバーOSとしてのLinuxは、様々な分野で採用されています。そのような適用範囲の拡大に対応すべく、ハードウェアベンダーや大手システムインテグレーター各社には、エンタープライズLinuxの専門部隊が存在することが少なくありません。オープンソース・Linuxを駆使し、ビジネスを拡大させるためには、まず、エンタープライズ用途向けのLinuxシステムについて精通した人材が必要となります。

しかし、Linuxシステムに精通しているといっても、単にOSの機能を知っているだけでは全く通用しません。OS自体の新機能や最新スペックも必要な知識ですが、それだけでなく、企業において様々なIT基盤が存在する中で、そのIT基盤の特徴や要件に応じて、妥当と思われるハードウェア、サーバー用OS、ミドルウェアを選定するスキルがオープンソース・Linuxを駆使する技術者に必要とされます。

例えば、自社の商品を購入頂いたユーザー会員がSNSに投稿したテキストデータ、画像データ、動画データを保管し、自社の市場調査、次期商品開発に役立てるために、それらのデータを分析する場合、そのデータ増加量、保管方法、分析の手段、障害時のサービス継続要件、運用管理の簡素化を加味したストレージシステム、サーバーOS、ミドルウェアなどを選定しなければなりません。

また、最近のOpenStack(オープンスタック)のような「OSSクラウド基盤」や、話題のインメモリ処理向けのデータベース基盤やビッグデータ基盤においては、インテグレーション能力に加え、システムの安定稼動のための運用ノウハウ、保守サポート能力の有無も求められます。

これらは、ITベンダーだけで完結するのではなく、エンタープライズ用途向けのLinuxやオープンソースに精通した人材を顧客側においても確保し、ITベンダーと顧客の両輪で密な情報交換を行いながらプロジェクトを進めていく必要があります。

本連載は、オープンソース・Linuxの入門者向けの内容ですが、単にLinux OSが提供する新機能や話題のオープンソースソフトウェアのインストール手順を紹介する記事ではありません。ビジネス要求に応じ、妥当なハードウェアシステム、ミドルウェア、アプリケーションを選定、提案するにあたって、オープンソース・Linux技術者に必要な最低限の勘所を知ってもらうのがねらいです。

事業を効率化するために必要な商用のサーバーOSや、無償で入手できるLinux OSの適用範囲、オープンソースが利用可能な代表的なサーバーやストレージの構成とはどのようなものなのか、パソコンではなく、サーバーでLinuxを稼動させる場合に、知っておくべきオープンソースソフトウェアの考慮点は何かなどを業務要件とセットで理解しておく必要があります。

本連載では、一般的なLinuxサーバーのシステム提案、コンサルティング、運用、保守業務において、最低限知っておくべき内容を知ることができますが、昨今のオープンソースや最新のサーバー向けLinux OSの進化は非常に速いため、本連載で取り上げる技術的な内容の陳腐化は、どうしても避けられません。しかし、時が経過しても、基本的な考え方、勘所を押さえておけば、たとえITにおける技術のトレンドが変化しても、応用できるはずです。

ただし、オープンソースの技術の潮流については、できるだけ最新情報を頭に入れておく努力をしなければなりません。オープンソースコミュニティやベンダーとのコミュニケーションは、ぜひ積極的に行うようにしてください。

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 サーバーシステムの種類とオープンソース・Linuxの関係をざっくりと知る

ビジネス要件によってITで求められる機能要件も様々であり、それによって、選定すべきハードウェアや、OS、そして、その上で稼働するミドルウェアも変わってきます。業務要件に応じたサーバーシステムの違いとオープンソース・Linuxとの関係を知っておくことが必要です。

「オープンソースってパソコンや足元におく小さいサーバーで動かすソフトでしょう?」と思われる方もいるかもしれませんが、実は、オープンソースとは無縁のように思われる大規模システム向けのサーバーにもオープンソースやLinuxが搭載されています。

後編では、まず、大規模システムで利用される「ミッションクリティカルシステム」におけるLinuxサーバー、無停止型サーバー、UNIXサーバーなどを取り上げ、それらとオープンソース・Linuxとの関係をざっくりとご紹介します。

 

【筆者プロフィール】

古賀政純(こが・まさずみ)
日本ヒューレット・パッカード株式会社
オープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリスト

兵庫県伊丹市出身。1996年頃からオープンソースに携わる。2000年よりUNIXサーバーのSE及びスーパーコンピューターの並列計算プログラミング講師、SIを経験。2006年、米国ヒューレット・パッカードからLinux技術の伝道師として「OpenSource and Linux Ambassador Hall of Fame」を2年連続受賞。プリセールスMVPを4度受賞。

現在は、日本ヒューレット・パッカードにて、Hadoop、Spark、Docker、OpenStack、Linux、FreeBSDなどのサーバー基盤のプリセールスSE、文書執筆を担当。日本ヒューレット・パッカードが認定するオープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリストとして、メディアでの連載記事執筆、講演活動なども行っている。Red Hat Certified Virtualization Administrator, Novell Certified Linux Professional, Red Hat Certified System Administrator in Red Hat OpenStack, Cloudera Certified Administrator for Apache Hadoopなどの技術者認定資格を保有。著書に「Mesos実践ガイド」「Docker 実践ガイド」「CentOS 7実践ガイド」「OpenStack 実践ガイド」「Ubuntu Server実践入門」などがある。趣味はレーシングカートとビリヤード。

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