サイオステクノロジーの橋本です。
今回 Fiware について取り上げます。
FIWARE はスマートシティの文脈で語られることが多い OSS です
※ スマートシティとは
「スマートシティは、先進的技術の活用により、都市や地域の機能やサービスを効率化・高度化し、
各種の課題の解決を図るとともに、快適性や利便性を含めた新たな価値を創出する取組」
と国土交通省<https://www.mlit.go.jp/scpf/>のHPでは説明されています。
歴史
なぜ FIWARE はスマートシティの文脈で語られるかというと、その歴史に理由が有ります。
EU (European Union : 欧州連合) の官民連携プログラムの一貫として開発された OSS であり
次世代インターネット基盤ソフトを目指して開発されました。
※ FIWARE は FI (Future Internet) WARE (SOFTWARE) の略です。
もともとはスマートシティにくわえ以下の 7 つの分野で活用できる基盤として開発されました。
街の安全
物流
交通・輸送
農業
環境
エネルギー
メディア・コンテンツ
特に日本ではその中で特にスマートシティという文脈で語られることが多いというわけです。
何ができるの
端的にいうとデータの標準化と検索が得意分野です。
例えば
防災システムは A システム
交通情報は B システム
気候情報は C システム
とバラバラで構築しシステム間連携ができないサイロ化された環境でも
FIWARE では横断した活用ができます。
具体的な事例としては香川県高松市の事例があります。
防災として河川に水位センサーを設置し、各所の水位、潮位状況を監視し、
スマートメーターの電力状況から避難所の開設状況や停電の有無をする仕組みを
構築しています。
防災のみならずレンタサイクルに GPS ロガーを設置し利用者 (観光客) の訪
問先を可視化する取り組みを行なっています。
技術的には
技術的な側面から FIWARE を見ていきましょう。
FIWARE はコンポーネント群の総称です。
その中で Context Broker(Orion) が中心的な役割を果たします。
Context Broker(Orion) は API の共通規格である NGSIv2 REST API に準拠し
コンテキスト (≒データ) の更新、参照、登録といった管理を行います。
NGSIv2 REST API に準拠した API であるならば、
メーカー製デバイス、スマートフォンなど取得元を問わずコンテキスト (データ) の管理が可能です。
Context Broker(Orion) を中心に
IoT デバイスからのデータを扱いたいならコンポーネント IoT Agent
履歴情報を残したいなら STH-COMET
履歴情報や統計情報を蓄積したいなら QuantumLeap
といったように目的に応じて複数のコンポーネントを組み合わせて利用します。
チュートリアルを触ってみて
FIWARE は潤沢にチュートリアルをを用意しています。
https://www.letsfiware.jp/fiware-tutorials/
その中でチュートリアルを以下 2 つのチュートリアルを実施してみた感想です。
このチュートリアルではダミーの IoT デバイスをデプロイします。
そのうえでダミー IoT デバイスのデータを QuantumLeap に蓄積し、
最終的に Grafana を用いて地図にマッピングを行います。
FIWARE は複数の OSS と組み合わせることが容易で Docker や MongoDB さら
には Grafana、CrateDBといった様々な OSS と組み合わせチュートリアルを進めます。
様々な OSS 利用しているため、それぞれの (FIWARE 以外の) OSS に関する説明が少し古い部分が存在します。
チュートリアル上でうまく動かないシーンはエンジニアの腕の見せ所ですね!
ビジネスにどう生かせるか
IoT が多数ある環境では FIWARE の活用が見込めます。
例えば
工場で A 社の電力センサー、B社の水使用量監視装置、C 社の温度計とあったとき
FIWARE で各社センサー、監視装置の情報を FIWARE でまとめ収集し、
Grafana 可視化監視する
といった活用方法ができそうではあります。
ベンダーロックインを避けられるデータエコノミーという点は非常に魅力的ではあります。
SIOS は OSS や API の扱いに自信があり FIWARE は魅力的な OSSではありましたが、
FIWARE を利活用できるようなユースケース (工場や実店舗など) が存在していないため、
チュートリアルの実施までにとどまっています。
現場の悩みとしてベンダーが違うためシステムによっては監視装置やインターフェースが違う
といった悩みがある場合は FIWARE を利用すれば解消できるかもしれません。
スマートなシステム連携が実現できるかもしれない FIWARE の利用を検討してみてはいかがでしょうか。