こんにちは、サイオステクノロジーの藤原です。
これまで、ユーザが任意のメールアドレスからメールを送信するためには、管理者がプライマリメールアドレスを変更する必要がありました。
(Microsoft 365(旧:Office 365)のメールエイリアス、特にプライマリメールアドレス、プロキシメールアドレスについてはこちらの記事「Office365でのメールエイリアスについて」を参照ください。)
しかしながら、Microsoft 365 roadmapで管理者がテナントに設定を加えることによって、ユーザがメールアドレスを選択して送信することができる機能が実装され、最近ロールアウトされたので、さっそく検証してみました。
今回はOutlookでプロキシアドレスからメールを送信する方法をまとめます。
検証環境の構成
以下のようなオンプレADからAADCでAzure ADに同期を行っている環境で検証を行いました。
ここでユーザが持つプロキシアドレスはproxyAddress属性に格納されており、プライマリのSMTPアドレスはUPNと異なるものを使用しています。
エイリアスとして、図に記載しているような4パターンのsmtpアドレスを持たせています。
今回はこれら計5つのメールアドレスをユーザが選択して、メール送信できるのか検証していきます。
テナント側の設定
今回は検証環境のADサーバのPowerShellを用いてテナントの設定を行いました。PowerShellのバージョンは5.1です。
ExchangeOnlineManagementのインストール
Install-Module ExchangeOnlineManagement
Exchange Online PowerShellに接続
Connect-ExchangeOnline
SendFromAliasEnabled設定を有効化
Set-OrganizationConfig -SendFromAliasEnabled $True
次のコマンドでSendFromAliasEnabledが有効化されているか確認します。
Get-OrganizationConfig | Out-String -Stream | Select-String "SendFromAliasEnabled"
以下のようになっていれば設定が有効化できています。これによってテナント内のユーザ全員がプロキシアドレスからメール送信できるようになります。
※ちなみに、設定値を有効にしてから実際にプロキシアドレスからメールを送信できるようになるまでタイムラグがありました。
以上で、テナント側の設定は終わりです。
ユーザの操作
ユーザは以下の操作でプロキシアドレスからメールを送信することができます。
Outlookにアクセス
Outlook on the Webにアクセスします。
差出人を選択
新しいメッセージの右上「…」から「差出人」を選択します
プロキシアドレスを入力
1回目
「差出人」から「その他のメールアドレス」を選択し、プロキシアドレスを入力します。
このとき、自身のプロキシアドレスでないメールアドレスを入力してもメールを送信することはできません。
2回目以降
2回目以降はプロキシアドレスが記憶されるので、アドレスを選択することで差出人を選ぶことが可能です。
メールを送信
以上の手順でプロキシアドレスからメールを送信することができます。
検証内容
今回、計5つのメールアドレス(SMTP,smtpアドレス)からメールを送信し、以下の内容を検証しました。
- プロキシアドレスからメールが送信できるか
- メールヘッダのFrom、Envelope From(Return-Path)が送信時のアドレスになっているか
検証結果
検証の結果以下のように、ユーザが選択したメールアドレスからメールを送信することができました。
また、FromとEnvelope Fromが一致していることから、メールに対して返信した場合でも送信時のユーザとしてメールのやり取りが可能です。
メールアドレス |
メール |
Fromが 送信時のアドレス と一致 |
Envelope Fromが 送信時のアドレス と一致 |
プライマリ |
○ | ○ | ○ |
別ローカルパート@同一ドメイン blog-alias@mail.hogehoge.com |
○ | ○ | ○ |
同一ローカルパート@別ドメイン |
○ | ○ | ○ |
別ローカルパート@別ドメイン blog-alias@hogehoge.com |
○ | ○ | ○ |
Microsoft Online Email Routing Address blog@hogehoge.onmicrosoft.com |
○ | ○ | ○ |
以上のように、Microsoft365のOutlookにユーザがプロキシアドレスを選択してメールを送信できる機能が追加されました。今後利用可能なテナントは増えていくと思います。
便利な機能なので、ぜひ有効化してみてはいかがでしょうか。
参考
Send as SMTP alias is now available in Exchange Online