Drupal の長期的な成長にとっての妨げ

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Drupal の創始者ドリース バイテルト氏のブログを日本語で紹介するコーナーです。

 

Drupal の長期的な成長にとっての妨げと、それを乗り越えるための僕たちの戦略と現在の構想

Drupal 8 は毎年 40~50% の成長を遂げてきた。健全な成長率だ。それはともかく、その成長をどう続けていけるか調べてみる価値は常にある。

今週初め、僕は成長の妨げを取り除くことのパワーについて記事を書き、そこで Amazon が自身の成長ブロッカーに対してどういうアプローチをとっているかをシェアした。Amazon は長期的な成長にとってのブロッカーとして少なくとも 2 つを特定した。それは (1) 配送料と (2) 配送所用時間だ。この両方を排除することに Amazon は 10 年以上、フォーカスし、信じられないほど膨大な創造性、労力、時間、資金を費やした。

僕はそのブログ記事で、Drupal 自体の成長にとっての障壁に関する僕の考えをシェアすると約束した。Drupal の長期的な成長を促進するため、僕たちはどんな障害を排除できるだろうか?まあ、Drupal の成長を制限するものは以下のようにまとめられると思う:

  1. Drupal を評価、導入しやすくする
  2. Drupal をコンテンツ作成者とサイト ビルダーにとって使いやすくする
  3. 開発者とサイト所有者にとっての所有総コストを低減させる
  4. Drupal を時流に乗せながらインパクトを持たせ続ける
  5. Drupal をプロモートし、Drupal エージェンシーが成功するよう力添えをする

僕のブログを読んでいるか、DrupalCon の基調プレゼンを見た人なら、このいずれの点も驚くに値しないだろう。Amazon の例と同じように、これらの障害を解決するには何年もかかってきているし、これからもかかることだろう。

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Drupal の 5 つのプロダクト戦略経路。各経路上には現在の作業部会(イニシアチブ)が多数描かれている。

1. Drupal を評価、導入しやすくする

みんなもっとたやすく Drupal を試せるようにする必要がある。評価者(エヴァリュエーター)が Drupal の可能性を探りやすくなるよう、僕たちはダウンロードとインストールのエクスペリエンスを改善し、コアを備えたデモ サイトも含めた。この点で、2018 年には素晴らしい前進があった。

評価者エクスペリエンスを改善できたので(今度は)「新規ユーザー」エクスペリエンスにフォーカスところを是非、見てみたいと思う。新しい Drupal ユーザーの身になってみたら、まだ、ローカル開発環境を立ち上げるのは難しいと思うことだろう。まだ、選択肢が多すぎるし、指示が少なすぎるし、Drupal を始める「公式」なやり方が 1 つ決まっているわけではない。「新規ユーザー」に対する配慮はまだ不十分で、それが普及を遅くしている。だから、僕は 2019 年にはみんながそこにフォーカスするのを見てみたい。

2. Drupal をコンテンツ作成者とサイト ビルダーにとって使いやすくする

いちばんパワフルなトレンドの 1 つとして僕が何度となく気づいたのは「単純さが勝つ」ということだ。みんながソフトウェアに求めるのは、機能的にパワフルでありつつ、使いやすいということだ。コンテンツ作成者とサイト ビルダーには特にこれが当てはまる。

コンテンツ作成者とサイト ビルダーにとって Drupal が使いやすくなるよう、僕たちは Drupal 8.0 で WYSIWYG エディターとインプレース編集を導入した。そして、今はメディア管理レイアウト作成コンテンツ ワークフロー新しい管理およびオーサリングの UI を取り入れようと頑張っている。

これらの作業部会の多くは UI にツールを加えるが、それによって、コンテンツ作成者とサイト ビルダーはより少ないコード(コーディング)でさらに多くのことができるようになる。長期的に見て、Drupal には、これらの「ノーコード(no-code)」または「ローコード(low code)」の性能をもっと加えていく必要があると僕は考えている。

3. 開発者とサイト所有者にとっての所有総コストを低減させる

開発者はクオリティーの高いプロジェクト(サイト)を俊敏かつ素早く提供し、それによって自社の価値を高めたいものだ。また、開発者は自分のツールが邪魔になるようなことは避けたいとも思う。

これが意味するのは、Drupal の場合、開発者はサイトを作りたいのであって、その対象にはテーマとモジュールも含まれるが、複雑なアップグレード、高価な移行、面倒な開発者ワークフローによって身動きが取れなくなるようなことは勘弁願いたいということだ。

開発者とサイト所有者にはアップグレードしやすくした6 か月の革新モデル(開発サイクル)を採用し、マイナー リリースに対するセキュリティー対応期間を拡張した。これによって、メジャー アップグレードの複雑さは取り除かれ、利用組織はアップグレードの時間が増え、僕たちにとっては新しい性能をもっと頻繁にリリースできるようになった。これは開発者とサイト所有者にとって非常に大きな収穫だ。

これに加えて、僕たちは Drupal の Composer サポートおよびコンフィギュレーション管理機能の改善に取り組んでいる。これは開発者が日々の作業を自動化、合理化するのに役立つだろう。

長期的に見れば、Composer サポートの改良は自動アップデートに向かううえでの踏み石になり得る。そして自動アップデートは開発者の時間を解放する最も効果的な方法のひとつになることだろう。

4. Drupal を時流に乗せながらインパクトを持たせ続ける

Drupal 貢献者たちのおかげで Drupal エコシステムの革新が進んでいる。僕たちは Drupal に新しい貢献者を引き寄せ、既存の貢献者をワクワクさせ続ける必要がある。すなわち、Drupal を時流に乗せながらインパクトを持たせ続けなくてはならないということになる。

Drupal を時流に乗せ続けるため、僕たちは Drupal を API 優先型プラットフォームにしようともう何年もリソースを投入してきた。ヘッドレス Drupal あるいはデカップル型 Drupal は競合に対する Drupal の長所のひとつだ。Drupal の Web サービス API を利用することで開発者は自分の好きな JavaScript フレームワークで Drupal を使える。また、コンテンツをさまざまなチャネルにプッシュし、マーケティング用に存在する多様なテクノロジーと Drupal をよりうまく連携することができる。

Drupal 開発者は今、かつて Drupal ではできなかったことが行えるようになっている。Drupal の改良された API 優先型機能群があるせいで、JavaScript とモバイル アプリの開発者が Drupal に慣れ親しんできている。これらのすべてが、Drupal を時流に乗せ続け、Drupal が大きなインパクトを与え、僕たちが Drupal に新しい開発者を引き寄せられるようにしている。

5. Drupal をプロモートし、Drupal エージェンシーが成功するよう力添えをする

Drupal はオープンソース プロジェクトとしてよく知られているが、Drupal の進化している様子や競合製品と比べて Drupal がどうなのかといったことは、あまり理解されていない。

Drupal は 6 か月ごとにリリースされる新しいマイナー バージョンでグングン改良されているが、それがメッセージとして効果的に(外部に向けて)発信されているかといえば、僕には定かではない。僕たちの素晴らしい進歩をプロモートする必要がある。それは Web 開発コミュニティー内のすべての人にだけではなく、今や CMS の選択決定において大きな比重を持つことの多いマーケターとコンテンツ マネージャーに対してもだ。

僕たちはコードに対する共同作業に関しては素晴らしい成果を上げた。すなわち、何千という人が Drupal を作り上げるのを手伝った。しかし、マーケティング、教育、プロモーションに対する共同作業の成果は貧弱だ。この何千という人や制作会社がみんなで Drupal をプロモートしたらどんなことが起こり得るか想像してみるといい。

Drupal Association が Promote Drupal イニシアチブを始めた理由はここにある。また、Drupal のプロモーションやマーケティングを行うピッチ デック(短いプレゼン)、事例集や他の付随資料を一緒に作るよう、僕たちがコミュニティー内のみんなを結集させようとしているのも、そのためだ。

以下、すでに起きていること、起き始めていることを挙げてみよう:

  • Drupal のマーケティングとセールス資料を準備している企業/組織が指針として使える Drupal ブランド ブックDrupal Brand Bookの更新されたバージョンがある。
  • Drupal エージェンシーが新しいクライアントの仕事でスターティング ポイントとして使える広範な Drupal ピッチ デックをボランティアのチームが作っている。
  • DrupalCon には、新しく「コンテンツ & マーケティング」トラックが設けられる。コンテンツ ジェネレーション、デマンド ジェネレーション、ユーザー ジャーニーなどを担当するマーケティング チーム向けのものだ。また、Drupal 制作会社の経営者向けに「エージェンシー リーダーシップ」トラックもできる。
  • 僕たちは競合比較チャートの作成に取りかかる予定だ。Drupal を Adobe、Sitecore、Contentful、WordPress、Prismic など他の競合 CMS と比べたものだ。
  • 各地域の Drupal アソシエーションの多くは、自分の地域で Drupal をプロモートするため、マーケティング担当者の採用を進めている。

すべてのオープンソースの貢献と同じで、物事を前進させるにはたくさんの人が必要だ。これまでのところ、こうしたマーケティングの取り組みには 40 人がサインアップした。もし、みんなの組織にマーケティング チームがあって、Drupal のマーケティングに貢献したいようだったら、「Promote Drupal」イニシアチブをチェックして、Promote Drupal チームに参加してほしい。

Drupal がどう進化しているか、僕たちが支援している素晴らしい事例の数々、Drupal と新旧さまざまな競合とを比べたらどうなのかを世間に教えることは、プロジェクトの(社会的な)認知度を高め、Drupal 上および Drupal の周囲に作り上げるビジネスを成長させることへと向かう非常に長い道のりになるだろう。

 

最後に

Drupal ユーザーになるかもしれない人たちと Drupal ユーザー数百名、そして数十名の制作会社経営者と話してみて僕が思うのは、僕たちは正しいことに取り組んでいるということだ。こうした成長の妨げを克服するのは何年もかけた仕事になる。さまざまなイニシアチブは変わることがあるかもしれないが、これら 5 つのトラックにはこれからの 10 年間、取り組み続けることになるだろうと僕は考えている。ここ数年、僕たちは着実な進歩を遂げてきたが、それらがうまく功を奏するようにするため、僕たちはまだ忍耐強く、かつ、じっくりとかかわり続ける必要がある。Amazon が、自社の成長の妨げを取り除くため、10 年以上たってもまだ取り組み続けているのと同様、僕たちもこれから何年もの間、これら 4 つの妨げに取り組み続けるだろう。

drupalDrupal の詳細については下記をご覧ください!
https://sios.jp/products/it/oss-drupal.html

 

本ブログは、株式会社アウトソーシングテクノロジーにて翻訳しています。

▼株式会社アウトソーシングテクノロジーのブログページはこちらから!

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