こんな方へ特におすすめ
- これからエンジニアとしてのキャリアをスタートさせる方
- 未経験からエンジニアを目指しているけれど、不安を感じている方
- IT業界やエンジニアという職業に興味がある、学生や他業種の方
概要
こんにちは。サイオステクノロジーのはらちゃんです。
「SIOS社員が今年一年で学んだこと」のアドベントカレンダー2日目です!記念すべき10本目のブログ執筆となります!!
早いもので、新卒で入社してから1年が経ちました。
今回は、この1年間どんな風に過ごしたか、何を学んだのか一緒に振り返っていきます。

私のスタート地点
私は大学時代、機械工学を専攻していました。普段は材料力学や流体力学といった、物理的なモノを相手にする毎日。そんな私がITエンジニアとして新卒入社したのですから、まさに異世界への挑戦でした。
ただ、まったくプログラミング言語に触れたことがないわけではありませんでした。研究室ではC#を扱い、ゲーム開発のようなことをしていました。そのため、幸いにも「プログラミング」という行為自体への抵抗感はありませんでした。
漠然と作っていくことの楽しさを感じていて、将来も型にハマらない自由な仕事をしたいと考えるようになりました。
入社直後
最初の壁
入社後最初の3カ月は、配属前の全体研修期間でした。ここでは主に、社会人としてのビジネスマナーや、エンジニアになるためのIT基礎知識を学びます。
私はここで「学生」と「社会人」のマインドセットの違いを強く感じました。
例えば、このような違いがあります。
学生時代は、与えられた課題に対して正解を出すこと、あるいは自分一人が納得できる成果物を作ることがゴールでした。しかし、社会人では「価値を生み出すこと」「チームで成果を出すこと」が求められます。
| 学生 | 社会人 | |
|---|---|---|
| 評価基準 | テストの点数 個人の研究成果 | チームへの貢献度 ビジネス的な価値 |
| 時間感覚 | 比較的自由 | コスト意識 |
| 責任の範囲 | 自分の行動範囲内 失敗しても自分が困るだけ | 組織全体に影響が及ぶ プロとしての責任 |
| コミュニケーション | 仲の良い友人 | 年齢・立場の異なる多様な人 報告・連絡・相談の徹底 |
特に「報連相」の重要性は、頭で理解していても実践するのは難しく、最初はタイミングや伝え方によく戸惑いました。この期間に、技術者である前に一人のビジネスパーソンとしての基礎を叩き込まれたと感じます。
実務
第二の壁
いよいよSL(部署)に分かれて業務をしようというとき、ここで「趣味」と「仕事」の違いを感じました。
私は、大学の情報系学科で学ぶような「情報の基礎知識」がまったくありませんでした。インフラ、ネットワーク、OSなどの基盤知識がほぼゼロで飛び交う専門用語がまるで呪文のように聞こえました。
さらに、これまで一人でコードを書いていたため、チーム開発の経験が皆無でした。「Gitっておいしいの?」という状態で、バージョン管理という概念すらありませんでした。
「一人で動くコードが書ける」ことと、「プロとしてチームでシステム開発ができる」ことは、全くの別物だったのです。
当時の私のできること、できないことは明確に分かれていました。
- コードを見ること、書くことへの免疫
- モノづくりに対するポジティブなモチベーション
- 情報の基礎知識
- チーム開発の作法
気付き
はじめは疑問だらけでした。
エラーログを見ても何が書いてあるか分からない。先輩に質問しようにも、何が分からないのかが分からない。
しかし、もがき続ける中で、いくつかの重要な「気付き」がありました。
- 「分からない」を認める勇気
一人で抱え込んでも事態は悪化するだけだと痛感しました。勇気を出して「ここが分かりません」と発信したとき、先輩方は嫌な顔一つせず、丁寧に教えてくれました。 - 暗記ではなく「調べ方」を知る
膨大なITの知識を全て暗記するのは不可能です。重要なのは、エラーが出たときに「どういうキーワードで検索すればよいか」という、問題を解決するための「調べ方」を身につけることだと気付きました。 - 知識が知恵になる
最初はバラバラに見えていた知識(例えばLinuxコマンドとGitの操作)が、実務の中で繋がる瞬間が訪れます。
「あ、あの時のあれは、こういうことだったのか!」
というアハ体験。この積み重ねが、成長の実感に繋がりました。
また、技術との向き合い方だけでなく、チームで仕事をする上でのコミュニケーションについても、大きな意識の変化がありました。
仕事としてのコミュニケーション
「報連相」もたしかに重要ですが、今大切なのは「ザッソウ」だと感じました。
- 雑談
他愛のない話ができる人と仕事をする環境であれば、連絡や質問もスムーズです。 - 相談
上記のような安心感があれば、躊躇することなく人に相談できます。
チーム開発では、互いのタスクを把握していることで全体の進捗を把握し、納期を意識したスケジュール管理が行えます。
1人で抱え込むことは、チームにとっても当人にとっても利益のないことです。
とにかくやってみる
実プロジェクトが始まる前に、自己学習としてOJTに取り組みました。
そこでは「何をやりたいか」を重視していて、私はただひたすらに作りながら学ぶことを行いました。
具体的には、Webアプリケーション開発の全体像を把握するために、フロントエンドからデータベースまでの一連の流れを網羅的に学習しました。 私が取り組んだ基本的な構成は以下の図の通りです。

ユーザーが触れる画面(フロントエンド)にはReact、データの処理やビジネスロジックを担うサーバーサイド(バックエンド)にはPython、そしてデータを保存するデータベースにはMySQLを選定しました。
これらを組み合わせて一つのアプリケーションとして動作させることで、それぞれの役割や連携の仕組みを肌で感じることができ、Web開発の基礎体力をつける良い機会になりました。
また、この時期に並行して基本情報技術者試験の学習を行ったことも、業務で触れる知識を体系的に理解する助けになりました。「業務に絡めて理解する」ことが、資格取得への近道だと感じました。
上記のような開発をしながら、ライブラリやツールを活用してみたり、考えなければならないリスクに対する対策を考えてみたりと興味を持つことは強みになります。
このように、さまざまな技術に触れる時間のなかで、RAGを扱ったシステム開発が最も印象的です。
RAGとは、特定の情報源(社内データベース等)から関連情報を検索し、それを活用して大規模言語モデルがテキストを生成する技術です。AIが事実に基づかない情報を生成する現象(ハルシネーション)の対策の1つと言えます。
具体的なシステムの内容についてはこちらのブログで書いているので覗いてみてください。
ここで私は自身のAI相棒を作ろうと奮起しています。言語モデルはローカルで動かせる軽量さを重視し、Gemma(ジェマ)を用いています。
今、できること
1年前の自分と比べて、少しは胸を張って「成長した」と言えるようになりました。
- チーム開発への参加
Gitを使ったバージョン管理、プルリクエストの作成、コードレビューの指摘対応などが、日常的な業務としてできるようになりました。 - 問題解決能力の向上
エラーが発生してもパニックにならず、ログを読み解き、仮説を立てて調査し、ある程度の問題は自己解決できるようになりました。 - 全体像の理解
自分が担当している機能が、システム全体の中でどのような役割を果たしているのか、アーキテクチャを意識して開発できるようになりました。
- 学習意欲の向上
「分からない」ことが「怖い」ことではなく、「新しいことを知るチャンス」だと捉えられるようになりました。技術への好奇心が恐怖心を上回るようになりました。 - プロとしての自覚
自分の書いたコードがサービスとして世に出て、ユーザーに使われることの責任感を持つようになりました。 - 他者への貢献意欲
まだまだ教えてもらうことが多いですが、新しく入ってくる後輩や、同じように悩んでいるチームメンバーに対して、自分の知見を共有したいと思うようになりました。
過去の自分へ伝えたいこと
1年前の、不安で押しつぶされそうだった自分に声をかけられるなら、こう伝えたいです。
- 周りの同期と比べて焦る必要はない。
- 一つひとつ向き合って、手を動かし続けていれば、必ず点と点が繋がる瞬間が来る。
- 完璧を目指さなくていい。
- 昨日の自分より少しでも前に進んでいれば、それで十分すごい。
これは、これから未経験でエンジニアの世界に飛び込もうとしている皆さんへのメッセージでもあります。
知識の有無よりも、「学び続ける姿勢」と「素直さ」があれば、絶対に大丈夫です。
まとめ
機械系出身、IT知識ゼロからのスタート。怒涛のような1年でした。
もちろん、まだまだ半人前で、学ぶべきことは山のようにあります。しかし、この1年間で得た「分からないことを乗り越える力」と「作る楽しさ」は、これからのエンジニア人生における最強の武器になると確信しています。
2年目も、初心を忘れず、技術を楽しみながら成長していきたいと思います!

