はじめに
ども!最近はGitHubをCMSとして活用する検証にハマっている龍ちゃんです。社内システムでGitHubをCMSとして使ったデータ管理を2パターン試してみたんですが、それぞれ全然違う特性で面白かったんですよね。
「GitHubをCMSとして使いたいけど、どうやってデータを取得するのがベストなんだろう?」って悩んでいる方、結構多いんじゃないでしょうか?
今回は、私が実際に検証した2つのアプローチを比較します:
どちらも実際にプロダクション環境で運用してみたので、リアルな運用データと合わせて比較していきますね!
2つのアプローチ概要
ランタイムAPIアクセス(NestJS実装)

特徴:
- リクエスト時にリアルタイムでGitHub APIを呼び出し
- 常に最新のデータを取得
- サーバーサイドでAPI呼び出しを実行
ビルドタイム同期(GitHub Actions)

特徴:
- 事前にデータをビルド時に同期
- 静的ファイルとして配信
- 定期実行やトリガー実行での更新
技術的詳細比較
アーキテクチャの違い
項目 | ランタイムAPIアクセス | ビルドタイム同期 |
---|---|---|
データ取得タイミング | ユーザーリクエスト時 | ビルド/デプロイ時 |
データ鮮度 | リアルタイム | 同期タイミング次第 |
サーバー負荷 | API呼び出し毎回 | 静的配信 |
障害耐性 | GitHub API依存 | 静的ファイル |
レスポンス速度 | API待機時間あり | 即座にレスポンス |
運用面での比較
ランタイムAPIアクセス
メリット | デメリット |
---|---|
デバッグが容易(ログでAPI呼び出しを追跡可能) | レート制限対策が必要 |
即座にデータ反映 | GitHub API障害の影響を直接受ける |
シンプルなエラーハンドリング | サーバー監視が必須 |
API呼び出しによる遅延が発生 | |
継続的なサーバーリソース消費 |
ビルドタイム同期
メリット | デメリット |
---|---|
本番環境が安定(静的配信) | データ反映にタイムラグあり |
GitHub API障害の影響を受けにくい | GitHub Actions失敗時の対処が必要 |
運用コストが低い | デバッグが間接的 |
高速なレスポンス | 同期処理の複雑性 |
CDN活用による配信最適化 | データ整合性の管理が困難 |
用途別推奨パターン
ランタイムAPIアクセスを選ぶべきケース
推奨条件:
- データ更新頻度: 高頻度(1日数回以上)
- ユーザー数: 小〜中規模(同時接続 < 100)
- 予算: サーバー運用費用が確保可能
- リアルタイム性: 重要
具体例:
- 社内ドキュメントシステム
- 個人ブログ(更新頻度高)
- プロトタイプ・MVP開発
- チーム内情報共有ツール
ビルドタイム同期を選ぶべきケース
推奨条件:
- データ更新頻度: 低〜中頻度(1日数回以下)
- ユーザー数: 大規模対応が必要
- 予算: 運用コスト削減重視
- パフォーマンス: 高速レスポンス必須
具体例:
- 企業サイト・LP
- 技術ブログ
- ドキュメントサイト
- ニュースサイト(定期更新)
ビルドタイム同期のポイント:
- セキュアなPAT管理とアクセス制御
- データ整合性チェックとバリデーション
- エラー時のフォールバック機構
ハイブリッド構成という第3の選択肢
実際の運用では、2つのアプローチを使い分ける選択肢もあります:
適用パターン
- 静的コンテンツ: ビルド時同期(ドキュメント、記事等)
- 動的コンテンツ: ランタイムAPI(ユーザー投稿、リアルタイム情報等)
- 頻度別管理: 更新頻度に応じた自動振り分け
ハイブリッド構成の特性比較
メリット | デメリット |
---|---|
各コンテンツの特性に最適化 | システム複雑性の増加 |
コストとパフォーマンスの両立 | 運用・監視コストの増大 |
段階的な移行が可能 | デバッグ・障害対応の難易度上昇 |
リスク分散効果 | 技術スタックの多様化によるスキル要求 |
推奨判断基準
ハイブリッド構成を検討すべきケース:
├─ コンテンツ種別が明確に分かれている
├─ 段階的移行でリスク軽減したい
├─ 運用チームに十分なスキルがある
└─ システム複雑性を許容できる予算・体制
セキュリティ面での考慮
項目 | ランタイムAPI | ビルドタイム |
---|---|---|
PAT管理 | 本番サーバーに保存 | CI/CD環境のみ |
アクセス制御 | サーバーサイド制御 | 静的ファイル権限 |
ログ監査 | 詳細なアクセスログ | ビルドログのみ |
障害影響範囲 | 即座にサービス影響 | 既存データで継続 |
まとめ:最適解の選び方
決定フローチャート

データ更新頻度は?
├─ 高頻度(1日数回以上)
│ └─ ユーザー数は?
│ ├─ 小規模(<100) → ランタイムAPI
│ └─ 大規模(>100) → ハイブリッド構成
│
└─ 低頻度(1日数回以下)
└─ コスト重視?
├─ Yes → ビルドタイム同期
└─ No → どちらでも可
技術選択の判断基準(検証結果)
ランタイムAPI適用ケース:
- 小規模チームでの情報共有システム
- プロトタイプ開発(迅速なデバッグ重視)
- リアルタイム性が重要な管理画面
ビルドタイム同期適用ケース:
- 技術ブログやドキュメントサイト
- アクセス数が多い企業サイト
- 安定性を重視するシステム
今後の展望
GitHub APIエコシステムは進化し続けています:
- GitHub Apps認証の活用でセキュリティ強化
- GraphQL APIによる効率的なデータ取得
- Webhookとの連携でリアルタイム同期
どちらのアプローチを選んでも、これらの新機能を活用することで、さらに強力なシステムが構築できるでしょう。
次のステップ
この記事を読んで「実際に試してみたい!」と思った方は、まずは小さなプロトタイプから始めることをおすすめします。GitHubの無料枠とActions無料枠を使えば、コストをかけずに両方のアプローチを検証できますよ!
皆さんも、ぜひ自分のプロジェクトに合った方法でGitHubをCMSとして活用してみてください。質問やご相談があれば、いつでもお声がけくださいね!