Rancher入門:マルチクラウド対応のKubernetes管理ツールとは?

はじめに

CPチームの木下です。
今回はKubernetes(K8s)の運用は複雑で、クラスタ管理に多くの知識と労力が必要となりますが、そのKubernetes管理を大幅に簡素化するOSSのRancherについて記載していきます。
Rancherはマルチクラウドやハイブリッドクラウド環境における効率的な運用を支援するプラットフォームです。本記事では、Rancherの特徴やメリットについて分かりやすく解説します。

Rancherの主な特徴について

 

1. マルチクラスタ管理

Rancherは、複数のKubernetesクラスタを一元管理できるOSSです。オンプレミスのKubernetesから、Amazon EKS、Azure AKS、Google GKEといったクラウドのマネージドKubernetesまで、さまざまな環境のクラスタを一つの管理画面で操作できます。

メリット: 運用者は、分散したクラスタを一元的に監視・管理できるため、オペレーションの効率が向上し、複数のKubernetes環境を持つ運用者や企業に最適です。
ユースケース: マルチクラウド戦略を採用している企業や、オンプレとクラウドを組み合わせたハイブリッド環境の運用を行う企業・プロジェクトに適しています。

2. 直感的なユーザーインターフェース

Rancherのダッシュボードは、Kubernetesを扱ったことがない人でも分かりやすく設計されています。ワンクリックでクラスタの作成や管理、リソースのデプロイが可能です。

ビジュアル化された管理画面: クラスタの状態、ノードやポッドのリソース使用量、ログなどを簡単に可視化できます。
初心者でも使いやすい: GUIベースで提供されるRancherの操作画面は、Kubernetesの専門知識が少ない人でも利用しやすく、学習コストを大幅に削減できます。

3. RBAC(Role-Based Access Control)機能

Rancherは、KubernetesのRBACをさらに強化し、ユーザーごとに細かい権限設定が可能です。開発者や運用者に応じたアクセス権限の付与や、部署ごとのリソース制限など、きめ細やかなセキュリティ管理が行えます。

メリット: セキュリティポリシーに沿ったアクセス管理が可能で、コンプライアンス要件にも対応できます。
ユースケース: 大規模な開発チームや、セキュリティが厳しい業界でのKubernetes運用に最適です。

4. CICDと統合しやすい

Rancherは、CI/CDツール(例:Jenkins、GitLab CI、ArgoCDなど)との統合が容易です。デプロイメントの自動化や、アプリケーションのライフサイクル管理を効率化できます。

開発者にとってのメリット: 新しいコードのデプロイがスムーズになり、継続的なデリバリーが実現します。
ユースケース: DevOps環境の整備を目指す企業や、継続的なデプロイメントが求められるプロジェクトに適しています。

5. 高可用性とスケーラビリティ

Rancherは、高可用性構成が可能で、障害が発生しても運用を続けられる設計です。Rancher自体を複数のノードで構成することで、障害に強く、スケールアウトに対応します。

メリット: クラスタのダウンタイムを最小限に抑えつつ、リソースのスケールを容易に実現できます。
ユースケース: ミッションクリティカルなアプリケーションを運用する企業にとって、信頼性の高いプラットフォームとして役立ちます。

6. プラグインとカスタマイズ性

Rancherは、さまざまなプラグインやカスタム設定をサポートし、個々のニーズに合わせた柔軟な運用が可能です。HelmチャートやYAMLファイルを用いたカスタマイズも簡単に行えます。

メリット: Kubernetesエコシステムとの互換性が高く、ユーザーのニーズに合わせて拡張可能です。
ユースケース: 特定のワークロードやビジネス要件に応じたカスタマイズが必要な場合に適しています。

 

Rancher導入のメリット

オペレーションの効率化: マルチクラウドやハイブリッドクラウド環境での一元管理により、オペレーションの手間を大幅に軽減。
セキュリティの向上: RBAC機能やセキュリティポリシーの統合で、安全なクラスタ運用が可能。
コスト削減: 管理工数の削減と最適化されたリソース管理により、インフラコストを効率的に削減。

 

まとめ

Rancherは、Kubernetesクラスタを簡単に管理できるだけでなく、マルチクラウド対応、直感的なUI、強化されたセキュリティ機能など、商用環境でのKubernetes運用を最適化する数々のメリットを提供します。Kubernetesの複雑さに悩む運用者にとって、Rancherは心強いツールとなるはずです。
また、OSSのRancherを商用環境で導入するための、エンタープライズサポートなどもSUSE社などから提供されています。OSS単体での導入は難しい場合などでもこれらのサポートを基に検討してみてはいかがでしょうか。

今後も数回に渡りRancherに関する技術ブログを執筆予定です。
今回は初回のため概要レベルからの特徴を説明しましたが、次回以降は実際の構築時のポイントやマルチクラウドでの利用ポイントをまとめていきますので是非見ていただければ幸いです。

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