DXを効率的に進める方法(DXとローコード開発ツール)

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 こんにちは、吉田行男です。今回は、「DXを効率的に進める方法」についてご紹介したいと思います。

DX(Digital Transformation)とは?

 少し古い話から始めたいと思いますが、2003年にハーバード・ビジネス・レビューに”IT doesn’t Matter”という論文(*1)が掲載されました。著者はニコラス・G・カーというビジネス戦略と情報技術に関して数多くの記事や論文を書いている米国の著述家です。この論文で主張していることは、「ITは、電話や電力、鉄道などの基盤的技術と同じように技術的な成熟にあわせてコモディティになりつつあり、もはや企業にとって持続的な競争優位の源泉ではなくなっている」ということでした。確かにこの論文発表当時は、ドットコムバブルがはじけ、ITに対して再評価が必要な時であったのかも知れませんが、相当大きなインパクトを持った論文でした。

 さて、時は流れ、昨今のバスワードは、『DX』です。調査会社のIDCはこの『DX』を下記のように(*2)定義しています。

企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること

 転じて、第3のプラットフォームと呼ばれるデジタル技術を活用して、新たなビジネスモデルを創出することということになっています。つまり、ニコラス・カーが唱えた”IT doesn’t Matter”は、過去のものでITを活用することで新しい価値を生み出すことができ、競争上の優位性を確立できるものになってきたということです。

 では、なぜそのようなことが実現できなかったのでしょうか?経産省が2018年に発表した『DXレポート』(*3)によると、①既存システムが事業部門ごとに構築されていることで、全社横断的なデータ活用ができていないことや、②標準システムに過剰なカスタマイズをしているため、複雑化していること。③データ活用をするための業務の見直しのための現場の抵抗、などが要因で実現できなかったということを指摘しています。

 しかしながら、この10年ぐらいの間にクラウドの急速な発展により、情報システム部が関与せずに各事業部門が独自にクラウドサービスを自らのビジネスに活用し始めていました。日本では、経産省が主導して『攻めのIT活用』というようなキーワードで、ITを積極的に活用するという機運が生まれ、それが現在のDXにつながっているような気がします。

 このようなことから考えても、新しいITの活用法としてのDXは、全社的なアプローチというよりボトムアップで各事業部が自らの手で構築することの方に価値があるように思います。また、ビジネス環境が変化する中では、仕様をしっかり固めてシステムを構築する方法では、完成した時にはすでに時代遅れになってしまう可能性が大いにあり、『アジャイル』的なアプローチをとり、日々システムをメンテナンスしていく必要があります。もちろん、すべてのシステムがそのようなアプローチをとる必要がないことは言うまでもありません。

 そのためには、DXはビジネスの根幹をしっかり理解して進める必要があるため、どうしても外部のITベンダに開発を委託することは現実的ではありません。また、上述のように日々のアプリケーションの機能改善を日々行う必要があることを鑑みても、各企業は自社内でシステムを構築すること(『内製化』)が必然となってきます。昨今では、大手の企業がIT会社に資本業務提携をしたり(*3) (*4)、IT人材を多数採用したり(*5) (*6)、社内の人材を再教育(リスキリング)するのもこのような流れの一環かも知れません。(*7)

 この後、『内製化』を進めるための有力なツールとして、注目を浴びている『ローコード開発ツール』をご紹介したいと思います。

 

DXとローコード開発ツール

  • ローコード開発ツールとは?

 ローコード開発ツールは突然現れたわけではなく、従来から「超高速開発ツール」などという名称で呼ばれていたツールですが、近年、ローコード開発ツールと言われるようになってきました。そのローコード開発ツールですが、IT調査専門会社であるIDCによると、『アプリケーション開発におけるコーディングを最小限に抑え(あるいはコーディングせずに)、ドラッグ&ドロップによるビジュアルモデリングによってデータ、ロジック、フロー、UIなどを定義しながらアプリケーションを開発し、運用ができる環境を提供するソフトウェア製品またはクラウドサービス』と定義しています。2020年から2021年の一年間で導入率が8.5%から37.7%へと大幅に上昇しています。また、2023年には新規開発されるアプリケーションの60%がローコード/ノーコードプラットフォームで開発されるとIDCでは予測しています。(*8)

 また、同じく調査会社である株式会社アイ・ティ・アール(ITR)による予測でも、市場規模は順調に伸び、2025年には、1,500億円を超える市場規模になると予想しています。(*9)

 

  • ローコード開発ツールの市場規模が大きく伸びる理由

 先ほどご紹介したように、ローコード開発ツールは、コーディングを最小限に抑えてアプリケーションを開発するというところがポイントになります。DXの推進を急いでいる企業にとっては、開発効率をいかにして向上させるかというところが大きな問題となってきます。また、一度開発したアプリケーションもビジネス環境の変化に応じて、頻繁に更新する必要が出てくるかも知れないということを考えると、手間をかけずに開発することができ、なおかつ、更新も柔軟に対応できるツールが求められるのも必然と言えると思います。さらに、DXの一番の勘所としては、『内製化』ということになりますが、これにも最適だと言えると思います。

 今まで、アプリケーション開発はいわゆる情報システム部門が開発してきましたが、DXを推進するためには、業務知識が豊富な担当者がアプリケーション開発をすることが最も適していると考えられます。しかしながら、それらの担当者が必ずしもITに精通しているとは言えず、ましてや開発までということになります。そうなるとプログラミング言語を駆使して、アプリケーション開発をすることなど至難の業ということになり、いつまでたってもDXは進みません。

 そこで登場するのが、このローコード開発ツールということになります。多少のコーディングが必要になるかも知れませんが、業務知識が豊富な担当者に必要最低限の教育を実施することで、現実的に対応が可能と考えてよいでしょう。そのためには、企業の中にローコード/ノーコードCoECenter of Excellence)を設置し、教育やトレーニング、啓蒙活動など社内での普及に向けた活動を行い、開発の標準化やフレームワークの作成、アプリケーションの品質管理や開発権限の管理などのガバナンスを策定していくことが重要になってきます。

 

オープンソースのローコード開発ツール

 DXの推進にローコード開発ツールが有効であることをこれまで説明してきましたが、でしゃ、そのローコード開発ツールでオープンソースのものにはどのようなものがあるのでしょうか?代表的なものは、以下の3つになります。

  • iPLAss
  • Open Lowcode
  • Pleasanter

この中から、Pleasanterについて少し紹介したいと思います。

  • Pleasanterの紹介

 Pleasanterは、.NETというマイクロソフトの技術をベースに開発されているツールで、OSSとしては非常に珍しい存在だと言っていいでしょう。開発当初は、Excelで管理している業務をWebアプリケーション化することを目的としていましたが、現在ではITの専門部署の担当者ではなく、それぞれの現場で簡単にWebアプリケーションを構築することで業務の効率化を行うためのツールとして発展しています。先ほどご紹介したようにマイクロソフトの技術をベースにしていることで、日常的にWindowsを使用している担当者が使い慣れている環境でアプリケーションを開発できるというメリットもあり、導入事例も増えてきているようです。開発している株式会社インプリムでは、パートナービジネスも積極的に推進しており、現在では40社を超える認定パートナー企業と連携して、ビジネスを推進しています。

 このようにオープンソースのローコード開発ツールを活用し、小さくDXを始め大きく育てていくような試みに取り組んでいくのはどうでしょうか?

 

(*1)「もはやITに戦略的価値はない」 ニコラス・G・カー=著/DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー/ダイヤモンド社/2004年(「IT Doesn’t Matter Harvard Business Review, May 2003の邦訳)
(*2)Japan IT Market 2018 Top 10 Predictions: デジタルネイティブ企業への変革 – DXエコノミー においてイノベーションを飛躍的に拡大せよ, IDC Japan プレスリリース, 20171214
(*3)アジャイル開発/DX推進のクリエーションラインがヨドバシホールディングスと資本業務提携を締結し新規サービス開発等に取り組む
(*4)ジョイゾーと八芳園が業務提携し伴走型DX支援を推進第一弾としてブライダル業界のDXに特化した営業支援プラットフォーム「IRERO indicate real road~」の提供開始
(*5)内製巧者のニトリHDIT部隊1000人計画、子会社「ニトリデジタルベース」設立で
(*6)ビックカメラがIT子会社設立しエンジニア数百人採用へ、内製に舵切りDX推進
(*7)旭化成、デジタル人材を102500人に 学び直しで育成
(*8)2020年度のローコード/ノーコード開発市場は500億円規模に拡大
(*9)国内ローコード/ノーコードプラットフォームの市場動向を発表

 

著者:
吉田 行男
2000年ごろからメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。社内外でOSS活用に関する講演、執筆活動を行ってきた。2019年から独立し、さまざまな会社や団体の顧問として活動。OSSの活用やコンプライアンス管理などを支援している。

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