こんにちは、サイオステクノロジーの小川です。今回はUser Syncの検証を行いましたので設定方法について掲載します。
User Sync ツールは、ユーザーとグループの情報を組織のエンタープライズディレクトリシステムから Adobe Admin Console 内の組織のディレクトリに移すためのツールです。User Syncを利用することで、源泉のLDAPでアカウントの一元管理が可能になります。
構成
ツール | バージョン | 役割 |
User Sync Tool | 2.6.0 | Adobeアカウント連携機能 |
UST Configuration Wizard | 1.0.3 | User Sync設定ツール |
設定
ここからUser Syncの実行アプリケーションファイル(user-sync-v<バージョン>-win64.zip)と構成ファイル(examples.zip)を取得します。
User Sync構成ウィザードを取得します。
User Sync用のフォルダを作成し、以下のアプリケーション、ファイルを配置します。
- connector-ldap.yml //LDAP接続、フィルター、属性設定ファイル
- connector-umapi.yml //User Management API接続設定ファイル
- user-sync-config.yml //User Sync構成ファイル
- private.key //User Syncサーバー秘密鍵 (以下で作成)
- user-sync.exe //User Sync実行アプリ
- UST.Configuration.App //User Sync構成ツール
証明書の作成
コマンドプロンプトを開きます。User Sync実行アプリケーションがあるフォルダに移動し「user-sync certgen」を実行します。
カレントフォルダに証明書と秘密鍵が作成されます。
Adobe APIの追加
Adobe開発者コンソールにシステム管理者アカウントでログインします。
連携する組織を選択し、プロジェクトを作成します。
Add to Projectを選択し、APIからUser Management APIを追加します。
作成した公開鍵をOption2のUpload your public keyにアップロードします。
クライアントID、クライアントシークレット、テクニカルアカウントID、組織IDを控えます。
User Syncの設定
Adobe.UST.Configuration.Appを実行します。
構成ウィザードが開くので、user-sync-config.ymlファイルを設定します。
クライアントID、クライアントシークレット、テクニカルアカウントID、組織IDを入力し、秘密鍵を設定します。
LDAPとの接続情報の設定をします。
- User Identifier:一意となるユーザ名の属性を設定します。
- All Users Filter:連携対象とするアカウントの抽出条件を設定します。
- Group Filter:連携対象とするグループの抽出条件を設定します。
- Group Member Filter:グループのメンバーの抽出条件を設定します。
User Syncの連携の詳細を設定します。
- User Identity Type:Adobeへ連携するアカウントのID形式を選択します。
- Users Group:アカウントをLDAPのグループからAdobeのユーザ-グループまたは製品プロファイルに紐づけます。(下記の図の例ではLDAPのLDAPGroupのメンバーユーザーがAdobeユーザーグループであるAdobeGroup配下に連携される設定になります。)
- Limit:Adobeのみにいるアカウントが連携時に一括削除できる最大値(設定値は有限な数値にする必要があります)
- Log Level:出力するログレベル
- Exclude Adobe-side identity type:Adobeのみに存在するアカウントの連携対象から除外するID形式
- Exclude Adobe-side Users Groups:Adobeのみに存在するアカウントの連携対象から除外するユーザーグループ
以上で、基本的な設定は完了です。
※上記のGUIの設定項目名とuser-sync-config.ymlの設定項目名が異なる部分があるので注意してください。
連携の詳細設定
構成ウィザードの設定では連携のオプションについての設定はできないので、user-sync-config.ymlの設定を変更します。
Adobeのみのユーザーを連携対象から除外する設定はexclude_usersに対象のアカウントを設定します。
adobe_users: exclude_identity_types: - adobeID exclude_adobe_groups: #- "Sample Product Profile" #- "Sample User Group" exclude_users: #- ".*@special.com" #- "freelancer-[0-9]+.*"
invocation_defaultsで連携時のオプションを設定します。
- adobe_only_user_action:adobeのみのユーザーの連携処理の設定
- exclude:連携対象としない
- preserve:削除に関する処理は行わない
- remove:論理削除(ユーザーからは削除されるが、ディレクトリユーザには残る)
- delete:物理削除(ユーザーからもディレクトリユーザーからも削除される)
- process_groups
- Yes:グループメンバーシップ情報を更新する
- No:グループメンバーシップ情報を更新しない
- update_user_info
- Yes:ユーザー情報の更新をする
- No:ユーザー情報の更新をしない
- users
- all:連携対象のユーザーすべてを連携する
- mapped:連携対象かつグループのメンバーユーザーを連携する
invocation_defaults: adobe_only_user_action: preserve adobe_only_user_list: null adobe_users: all connector: ldap exclude_unmapped_users: No process_groups: Yes strategy: sync test_mode: No update_user_info: No user_filter: null users: mapped
連携実行
Adobeへのアカウント連携を実行するにはコマンドプロンプトを開き、User Syncの実行アプリケーションのフォルダへ移動します。
以下コマンドを実行します。
C:\user_sync> user-sync
Adobe管理コンソールでアカウントが作成されていることが確認できます。
テスト実行を行うには-tオプションをつけて実行します。
C:\user_sync> user-sync -t
User Sync for Windowsのメリット
Windows Serverで設定するUser Syncのメリットとして挙げられるのはGUIで設定ができるので、分かりやすいという点です。
User Syncにはメールでの結果通知機能がありません。vbs等でメール通知のスクリプトを作成し、アカウント連携とメール通知スクリプトをbatで実行することで実現することが可能です。