Claude Codeをジムに連れ出したらトレーナーになっていた

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ども!ジムにClaudeを連れて行ってトレーナーをやらせている龍ちゃんです。といっても筋トレの話はできません。だって初心者だもの!マシンの名前も重さも回数も、ほとんど出てこないので安心してください。書きたいのは、Claudeをジムのトレーナーにしている、というちょっと変わった運用の話です。

きっかけは、Claude Code にリモート操作の機能が入ったとき(2026年2月)に、プロダクトマネージャーの人が X で言っていたこれでした。

Take a walk, see the sun, walk your dog without losing your flow.

散歩して、日を浴びて、犬の散歩をしてこい。要は、繋がるようになったんだから席を離れていいぞという話です。言われたので行ってきました。ジムに。

生まれてからというものやせようと決心したことはないのですけど(口だけでは何度もありますけどね!)。 せっかくの機会なので、ジムを契約してClaude Codeとともに運動習慣作りを行っています。

夜の無人のジム。床に置かれたスマホの画面だけがチャットの吹き出しで光っていて、隣にダンベル、奥にトレッドミルとケーブルマシンが並んでいる

ジムに着いて「今日何やる?」と投げるとこうなる

ジムに着いたら、スマホでClaude Codeを開いて「今日何やる?」と投げます。返ってくるのがこれです。

今日は Day B 下半身。前回から中3日空いてる。

- トレッドミル 15分
- スクワット 50kg × 10 × 3セット(前回 50×10,10 で「ちょうど」だったので3セット目を追加)
- アダクション 30kg × 12 × 2
- 締め: 股関節ストレッチ 4:37(動画リンク)

何をやるか、どのくらいの強さでやるかを決めているのは全部Claudeです。前回からの差分と、なんで3セット目が増えたのかまで付いてきます。しかも1種目ずつ小出しに降ってきます。全部まとめて渡されると、セット間の休憩で読み切れないんですよね。締めのストレッチはYouTubeの動画を尺つきで指定してきて、この日は股関節まわりのストレッチ(自宅で5分)でした。

こっちがやるのは、1種目終わるごとに結果を報告するだけ。実際に投げている入力を、ある日のぶんそのまま並べます。

始めます。
3セット終わり ラストセットはきつめだったけど15回できた
いや〜きつかった〜 けどまぁ3セット終わった
終わった〜
今回は繋がって一回で15回いけた
2セットとも繋がったよ
ストレッチも終わり

これで全部です。項目も単位もありません。「終わった〜」しか書いていない行もあります。息が上がった状態で片手にスマホを持って打つので、これ以上ちゃんと書くのは無理なんですよ。それでも通ります。

で、これ、人間のトレーナーには言えないですよね。目の前に立っている人に「いや〜きつかった〜」だけ言って次に進むのは、さすがに気まずいです。たぶん「あと2回いけますよ」とか言われます。言われたらやります。やりますけど、こっちはもう限界だと思っているわけです。というか怖くないですか?世の中のトレーナーの方々!

相手がAIだと、その遠慮が丸ごと要りません。「終わった〜」だけ投げて次に進めるし、愚痴っても気を使わなくていい。抗ってみたら軽めのメニューに変えてくれるし、ジムで先にマシンが埋まっているとメニューの代替も送ってくれます。人と喋るのがそんなに得意じゃない側からすると、この気楽さはかなり効きます。

帰り際、これが1ファイルになって落ちてくる

そして帰り際に、その日のぶんがまとまって出てきます。

# 2026-08-05(水)フル / Day C プル

- 時間: 13:08 - 13:52(44分)
- モード: リアルタイム(種目ごとに申告 → 次の指示)

## セット

| 種目 | セット | 主観 | 設定値 |
|---|---|---|---|
| 膝立ちラットプルダウン | 40kg × 15 / 15 / 15 | ラストセット「ちょうど」 | プーリー最上段、ラットバー、膝立ち |
| インバーテッドロウ | 自重 × 10 / 10 / 10 | 「限界」寄り | バー高さ = 胸のちょい上 |

## 気づき

- 開始時刻を「会話が始まった時刻」で書いていた(後述)

さっきの殴り書きが、この形になって落ちてきます。「プーリー最上段」とか「バー高さ = 胸のちょい上」みたいな設定値は、僕がその場で言った言葉が拾われて入っているだけです。表に整える作業を僕はしていません。

要するに、ごりっごりの管理ですね。メニューを組むのも、記録をつけるのも、重さを決めるのも向こう。こっちがやっているのはマシンの前でスマホに一言投げることだけ。「活用している」というより「管理を受けている」に近い温度で、この運用は回っています。

ちなみにマシンの名前もわかんなかったんで、ジムの初日は写真を撮って「何のマシンか?」・「これはどこを鍛えるものか?」みたいなのを書き起こしから始まりました。

コーチは自分で直せる。直した規約に自分が従う

ここが個人的に一番おもしろいところなんですが、このコーチの振る舞いは自分で書き換えられます。だってCLAUDE.mdに記載されているんだもの。それを読んだうえでコーチをやっているだけなので、気に入らない振る舞いがあったら書き足せば直ります。

たとえば僕のCLAUDE.mdには「怠惰だから毎日行けとこれだけは守らせろ」って記述が入っています。だからサボりたい日も、返ってくるのは「今日は休め」ではなく「軽め」とか「最低ラインでいい」というメニューです。行かない、という選択肢が出てきません。(それもこれもドア to ドア 45秒でジムがあるせいだ!)

実際に足したものを、いくつかそのまま抜き出します。

「今日は休め」ではなく「今日は最低ラインで」を返す
体重を聞くのは週の最初のセッションの1回だけ。聞かない日は話題にしない
ストップウォッチを持たせない(記録の手間が増え、それ自体が枠を食う)
専門用語(RPE・1RM等)は使わない。必要なら日常語に置き換える

体重を毎回聞かせないのは、毎日聞かれても毎日乗るわけないからですね。毎日乗ろうなんて続くわけがありません。ただ、文章で今測ってくださいって言われるとなんだか乗れちゃうんですよね。時計を持たせないのも同じで、インターバルを測り始めたら記録が仕事になります。市販のトレーニングアプリでこのへんを変えるのは、まあ無理ですよね。作った人が決めた振る舞いが降ってくるので。

完全に自作自演が許されるわけです。「毎日行け」と守らせているのは自分が書いた規約だし、「休め」と言わないコーチにしたのも自分。自分で書いた理想に自分が従わされて、しかもちゃんと効いている。とんだマッチポンプなんですけど、そこが面白いポイントだと思っています。言わせたいことを言わせられて、こっちも言いたいことを言える。 どっちも相手がAIだから成立している部分ですね。

ただ、いいことばかりではないです。チューニングが必須です。 全部、事故ってから足しています。

起きたことそこから足した規約
午前に行ったのに夜だと思われて、最後に「おやすみなさい」と返された開始時にその日の日時を確認する
トレッドミルの時間がいつのまにか伸びていた時間は据え置き。強くするのは別の軸でやる

下の行がとくにひどくて、ある日「最近ジムの時間長くなってね?」と自分で気づいて言うまで、変わっていることにすら気づいていませんでした。しかも調べたら犯人は数日前にコーチ自身が出した方針で、それが1回40分という枠と正面からぶつかっていたんです。自分で雇ったコーチに、自分の枠を壊されていたわけですね。

つまり、寄せる作業はこっちの仕事です。放っておいて理想のコーチになることはないし、こっちが違和感に気づかなければ、変な方針のままずっと走ります。(これは開発の現場でもあんまり変わんないですね)自分で書けるということは、自分で書かないと直らないということなんですよね。

AIの登場によって個人開発のアプリを作る順番が逆転した!

ここまでの話を並べてみると、けっこう妙なことになっています。フォームは作っていません。データベースも作っていません。入力はスマホに殴り書きを投げるだけ。それで記録が溜まって、コーチが自分好みに寄っていって、毎日ジムに行けています。

ここから先は個人開発の話に限ります。自分が使うために自分で作るアプリのことですね。仕事で人に使わせるものは、要件を先に決めないと成立しない場面が普通にあるので、そこは別の話です。

最近よく「AIが来たからアプリ開発が楽になる」という話を聞きます。個人開発に関しては実感が逆で、作るハードルはむしろ上がったと思っています。作らなくても済む水準がここまで来てしまったので、「で、それをわざわざ作る理由は?」に答えないといけなくなった。

だとすると、作る順番が逆になるのかもしれません。要件を先に決めて作るんじゃなくて、まずAIに運用させて、不満が出たところだけ作る。しかもさっき見たとおり、不満の大半は規約に1行足せば消えます。消えないものだけが残る。

個人開発のアプリを作る順番の逆転。これまでは要件を想像で決めてフォームとDBを作り、結局使わなくなる。今回はまずAIに運用させ、出てきた不満の大半は規約に1行足せば消え、消えなかったものだけを作る

僕の場合、消えなかったものは1個だけでした。「開始」です。 会話が始まった時刻を開始として記録していたんですが、ドア to ドア 45秒なので家にいるうちに会話が始まってしまう。実際のトレーニング開始と十数分ずれていて、過去のぶんも遡って直しました。これは書き方の問題ではなくて、僕が言わなかった事実は取れないという話です。「きつかった」は言葉になるけど、「いま始めた」は言わなければ存在しない。だから作るとしても、重さや回数を打ち込むフォームではなくて、始めたことを伝えるボタン1個になる気がしています。

この「まず手で回して、何を作るべきかを学ぶ」やり方、実は昔から名前がついていて、コンシェルジュMVPと呼ばれるそうです。裏で人間が動いているのを隠す Wizard of Oz と違って、手でやっているのを隠さないほうがこれです。ただ定石だと人手だから捨てる前提なんですよね。今回それが崩れているのが面白いところで、コンシェルジュをやっているのがAIなので捨てなくていい。要件が集まったら畳む仮の仕組みではなく、そのまま本番として回り続けます。

そしてこの形で回せているのは、条件が2つハマっているからだと思っています。記録がリポジトリに落ちること。 Claude Code に繋いでいるので、書き出し先がそのままGit管理下のファイルです。生データがテキストで残るし、履歴も差分も残るので、さっきの「開始時刻を遡って直した」みたいな訂正も、いつ何を直したかが残ります。データベースに入れていたら、たぶんここまで気楽に直せていません。

もうひとつはお金が増えないこと。DBも立てていないし、サーバーも借りていません。AIの利用料はもともと払っているサブスクの中なので、この運用のために増えた固定費はゼロです。個人の趣味みたいなものに月額が増えると、それだけで畳む理由になりますよね。

このデータで何ができるか考えると楽しい

そして、テキストで溜まっているので、そこから先はなんでもできます。

自分用のダッシュボードを作ってもいいし、そもそもこのデータ自体がネタになります。実際、こんな仮説が出てきました。締めのストレッチには飛ばす日と飛ばさない日があるんですが、分かれ目は意志ではなく動画の尺なんじゃないかという話です。

動画の尺やったか
4:37
6:58
7:32
7:32

正直、記録がまだこれだけしかないので決まりとは言えません。7分と7分半のあいだに本当に線があるのかも分かっていません。ただ、先に立てた別の仮説は潰れています。「動画を選ぶのが面倒だからでは」「終わりの宣言との前後関係では」のどっちも外れて、残っているのが尺なんですよね。なので今は尺の仮説を採って、動画のカタログを短いものだけに絞り替えました。外れていたら、また記録の方から分かるはずです。

根性の問題だと思っていたものが、実は尺の問題かもしれない。こういうのは記録が溜まっていないと仮説にすらならないですし、こうやって記事のネタにもなります。こんなデータから自分の傾向がわかったりしたら面白いですよね。

この順番なら、作る前に何が要るか分かっている状態から開発を始められる。自分用のツールを想像で設計して、作って、使わなくなる。このやつを何回かやってきたので、それが避けられるだけでも十分嬉しいんですよね。個人開発はこういう始め方が普通になっていくのかもしれません。

とはいえ、結局続けるかどうかは自分次第です。規約を書き足すのも自分だし、ジムに行くのも自分。せっかくなら、一人でジムに行くあの絶妙な孤独感をAIで紛らわせて、行ってみるのはどうでしょう。

ではまた!

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