【要点まとめ】ついに来た!最強AI、Mythosクラスが一般公開 ― Claude Fable 5 / Mythos 5

2026年6月10日未明(日本時間)、Anthropicが新モデル Claude Fable 5 を発表しました。(原文

Fable 5は、悪用リスクへの懸念から限定組織のみに提供されている上位モデル Mythosと中身が同じで、違いは一部の危険領域タスクに制限がかかる点だけです。

発表の要点+背景をまとめました。

概要

Fable 5 は、最上位モデルであるMythosを一般向けに安全化して公開したモデルです。

ポイントは3つです。

  • 性能:ほぼすべてのベンチマークで最高水準。タスクが長く複雑なほど他モデルとの差が開く。
  • 安全設計:サイバーセキュリティ・生物化学・蒸留などの高リスク領域だけ、Fableに代わって下位モデルが応答。発動は全セッションの5%未満で、残り95%超は実質Mythosと同じ。
  • 課金:本日から従量課金APIで利用可。サブスク勢は6/22まで無料利用可能、6/23以降は従量課金のみでの提供。余裕ができ次第、サブスク提供に復帰を目指す

ざっくり、Mythosのこれまでの経緯

「Mythos」は、現状Claudeで最高性能モデルである、Opusの上に位置する最上位ティアの呼び名です。

その第1弾モデルとして2026年4月に登場したのが「Claude Mythos Preview」でした。

話題になったのは、性能の高さもさることながら、サイバーセキュリティ能力が高すぎたためです。

あらゆる主要OS・ブラウザの脆弱性を見つけてしまうほどで、悪用されれば重要インフラへの攻撃に使われかねない、という懸念から、一般公開されませんでした。

代わりにAnthropicは「Project Glasswing」という枠組みを立ち上げ、サイバー防衛側の組織や重要インフラ事業者など、限られた相手にだけMythosをPreview提供してきました。

「いずれ安全に提供できる体制が整えば一般公開したい」とは表明していたものの、これまでは触れられる人がごく一部に限られていた、というのがこれまでの状況です。

そして今回、その「安全に出せる体制」が整ったとして登場したのが Fable 5(= セーフガード付きの一般公開版)という経緯です。

Mythosはどれだけすごいのか

まずは能力面です。同じ基盤モデルである Mythos 5 / Fable 5 が示した成果を見ると、世代の差を感じます。

ベンチマーク

(画像: Anthropic公式発表より)

どの領域でも大きく向上しています。

 

ソフトウェアエンジニアリング

Stripeが、5,000万行に及ぶRubyコードベース全体の移行を1日で完了させたと報告。

手作業ならチーム全体で2ヶ月以上かかる規模で、トークン効率も従来より改善

文書・分析業務

金融系のシニアレベル推論ベンチ(Hebbia Finance Benchmark)で全モデル中最高スコア。

文書ベース推論、図表の読み取り、問題解決で大きく改善。

画像理解

ビジョン系タスクでもトップの成績で、スクリーンショットだけからWebアプリのソースコードを再構築可能。

従来モデルが手こずった「ポケットモンスターファイヤーレッド」を、最小限の画面のみ構成でクリア。

メモリ・長文脈

数百万トークンにわたり集中を維持し、自分のメモを使って出力を改善。

デッキ構築ゲーム『Slay the Spire』では、ファイルベースの記憶を与えるとOpus 4.8の3倍の性能向上が見られました。

科学研究

  • 創薬:タンパク質設計プロセスを約10倍に加速。人間の補助なしで熟練オペレーターに匹敵・凌駕し、14の標的中9つで有望な候補を発見。
  • 分子生物学:新規かつ説得力のある科学的仮説を一貫して生成できる初のモデル。盲検比較で、科学者がOpusクラスより約80%の確率でMythosの仮説を支持。ある仮説は独立した研究で裏付けられた。
  • ゲノミクス:1週間超のほぼ自律的な作業で、138種・数百万細胞のデータを扱い、Science誌掲載モデルを100分の1のサイズで上回るMLモデルを設計・訓練。

「使える道具」というより「自律的に研究を進める存在」に近づいている、という点が従来との大きな違いです。

Fable と Mythos の違い

Fable 5 と Mythos 5 は同じ基盤モデルです。違いはセーフガードの有無に尽きます。

Claude Fable 5Claude Mythos 5
中身同一の基盤モデル同一の基盤モデル
セーフガードあり(高リスク領域はOpus 4.8が代わりに応答)サイバー領域のセーフガードを解除
対象一般ユーザー(誰でも)Glasswingパートナー等、審査を通った少数のみ
位置づけ一般公開向けに安全化したMythos世界最強のサイバー能力を持つフル性能版

 

Fableのセーフガードの仕組み

危険な使われ方を検知する専用の判定システムが、サイバーセキュリティ・生物化学・蒸留に関する要求を見つけると、Fable本体ではなく次点のOpus 4.8が代わりに応答します。(切り替わった場合はユーザーに通知されます)

安全優先で保守的に調整しているため、無害な要求を誤って捕捉することもありますが、Opus 4.8への切り替えが起きるのは平均で全セッションの5%未満です。

残り95%超のセッションでは切り替えが一切なく、その場合 Fable の性能は実質 Mythos 5 と同等になります。

3領域がカバーされる理由は、サイバーが脆弱性の発見・悪用を容易にしうること、生物化学がデュアルユース(防御にも攻撃にも使える)であること、蒸留が権威主義国での競合モデル訓練への流用を防ぐため、とされています。

 

ちなみに、これを執筆中にもFableを利用していたんですが、内容として特定文字列が含まれているせいか、勝手に下モデルに落とされました…

課金体系・利用方法

価格は 入力 $10 / 出力 $50(いずれも100万トークンあたり) です。Mythos Previewの半額以下になりました。APIでは claude-fable-5 を指定して利用します。

提供形態はプランによって異なるので注意が必要です。

API・従量課金型Enterprise 本日から完全に利用できます。

サブスクリプション(Pro / Max / Team / シートベースEnterprise)

段階的なロールアウトとなります。

  • 〜6月22日:追加費用なしで利用可。
  • 6月23日〜:対象プランからFable 5を外す。以降の利用には使用クレジット(従量課金)が必要。容量に余裕があれば無料期間を延長する可能性あり。
  • その後:十分な容量が確保でき次第、サブスクの標準機能として復帰させる方針。できるだけ早く実施したいとのこと。

データ保持ポリシーの変更

新型攻撃の防御と誤検知の削減のため、Mythosクラス以上のモデルを企業利用(API経由など)する場合、入力と出力がAnthropic側に30日間保存されることが必須になります。

これはAnthropicのAPIを直接使う場合だけでなく、AWSやGoogle Cloudなど他社経由で利用する場合も同様です。

ただし、実際に影響を受けるのは、これまで「ゼロデータ保持(ZDR)」契約でデータを一切保存させない設定にしていた組織だけで、個人プランや通常のTeam/Enterpriseプランはもともと標準の保持ポリシーで運用されているため、扱いは今まで通りで変更はありません

また、保存されたデータがモデルの訓練に使われることはなく、用途は安全対策に限定されます。人間によるアクセスも悪用の疑いがある場合などに限られ、すべて記録されたうえで、ほとんどの場合30日後に自動削除されます。

 

その他

今回の発表は、いくつかの動きと時期が重なっている点も押さえておくと理解が深まります。

ひとつは、Anthropicが公開市場への上場(IPO)準備を進めているとされるタイミングと重なっていること。

もうひとつは、同社が直前に「主要なAIラボは、フロンティアAI開発のスピードに協調してブレーキをかけるべき」と呼びかけおり、AIが人間の介入なしに自分自身を改良し続ける状態(RSI:再帰的自己改善)への懸念も表明しています。

つまり「これだけ強力なモデルを安全装置付きで世に出す」という今回の判断には、性能面のアピールだけでなく、そうした安全への姿勢を示す意味合いも重なっている、という見方ができます。

まとめ

ついに、開発会社がこれ以上の開発は危ないと警鐘をならすほどのmythos級モデルが公開になりました。

性能面ではコーディングから科学研究まで明確な世代差があり、一方で利用にあたっては6/23以降の課金切り替え30日データ保持の義務化という運用上の変更点を押さえておきたいところです。

まずは6/22までの無料期間で、前に試してできなかったことや、より高度なタスクを試してみるのが良さそうです。

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