牛タンゲームでプロンプトエンジニアリングを学ぶ

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こんにちは、サイオステクノロジー武井です。今回は、今ナウくてあつい「プロンプトエンジニアリング」について一筆したためました。

プロンプトエンジニアリングとは?

「プロンプトエンジニアリング」という言葉を聞いたこといらっしゃる方いると思います。米国では「プロンプトエンジニア」という職種は数千万の年収をもらえるという噂も聞きます。

OpenAIが提供するChatGPTや、マイクロソフトのBing Chatはプロンプトの与え方が良い回答を引き出すための成否を分けると言っても過言ではありません。正確な回答を引き出すためのプロンプトを上手に作成出来る技術を「プロンプトエンジニアリング」と呼び、そのためのテクニックはいくつかありまして、代表的なものを以下に記載します。

Few-shot Learning
少数の例文から新しいタスクに対して高精度な回答を出力する技術です。例えば、ChatGPTでは、少数の例文から新しい文章を生成することができます。
Zero-shot Learning
事前学習されたモデルに対して、新しいタスクに対する指示を与えることで回答を出力する技術です。例えば、「英語で書かれた小説を日本語に翻訳してください」という指示を与えることで、モデルは自動的に翻訳を行います。
ReAct
言語モデルでさまざまな言語推論や意思決定を遂行する手法です。行動理由の「推論」と「行動」の組み合わせにより、より高度なタスクを処理することができます。

この他にもたくさんあります。

牛タンゲームでプロンプトエンジニアリングを学ぶ

上記の中でよく利用するものの1つである「Few-Shot Learning」を例に、プロンプトエンジニアリングについてさらに詳しく説明します。

これは何よりも実例をあげるのが一番です。そこで、伝説のアイドル「広末涼子」さんが流行らせたという「牛タンゲーム」を題材にしてFew-shot Learningを解説します。

「牛タンゲーム」は、合コンや宴会などで行われる余興の1つです。牛タンゲームのルールをご存じの方は、この後の牛タンゲームの説明は読み飛ばしていただいて構いません。そうでない方はちょっとお付き合いください。

で、牛タンゲームの説明ですが、まず最初の人が「牛(ぎゅう)」と発言し、次の人間は「タン」と手をたたきます(このとき「タン」とはいいません)。次の人は再び「牛」といい、次の人は「タン」と手をたたきます。 そして、また次の人は「牛」といって、次の人、次の次の人も「タン」と手を叩きます。

ここまでで、「牛・タン・牛・タン・牛・タン・タン」となり、1ターン目が終了します。

その後は、3回目の「タン」をターンごとに増やしていきます。

例えば、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人がこの順番で牛タンゲームを始めた場合、その役割分担は以下のとおりになります。

おわかり頂けましたでしょうか?ぜひ皆さんもご家族・ご友人同士で試してみてください。

今回、ChatGPTに以下の質問をしてみます。

牛タンゲームをAさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人でこの順番で始めたときに、3ターン目で最後に手を叩くのは誰ですか?

以下の図のとおり、期待するべき回答はDさんです。

では、ChatGPTに聞いてみましょう。

さすがに人類の叡智を極めたChatGPTでも、牛タンゲームの内容は知らなかったようです。回答も誤っていますし、なんだかさも涼しい顔をして、謎の独自ルールを解説しています。僕たちの知っている牛タンゲームはこんなんじゃないはずです。

そこで、Few-shot Learningの出番です。

ChatGPTがうまく答えられないことについては、事前知識と模範的な回答例をいくつか与えて学習させることで、正確な回答をすることが出来るようになります。これがFew-shot Learningと言われるものです。

早速実践してみます。以下の質問をChatGPTにしてみます。

最初の「#ルール」で、牛タンゲームのルールという事前知識を与えた上で、「#サンプル」で牛タンゲームの模範的な実践例をさらに与えています。これでChatGPTに学習をさせているわけです。先の質問に対する回答は以下のようになります。

ずばり、正解です!!

このような学習をモデルにさせるためには従来は「ファインチューニング」という手法が取られていました。しかしながら、ファインチューニングにはいくつかの問題点があります。新しいタスクに適応させるためのモデルの訓練には、そのタスクに関連する大量のデータが必要でした。データの収集、整理、前処理は時間とリソースを大きく消費するプロセスでした。また、データが不足している場合、モデルは学習データに過度に適応してしまうオーバーフィッティングのリスクが高まり、これが実際の適用時に性能の低下を引き起こすことがありました。さらに、新しいタスクに対してモデルを再訓練するための計算リソースも必要とされ、これが追加のコストと時間を必要としました。

一方で、Few-shot Learningの登場により、これらの問題点が大きく緩和されました。この手法の魅力は、非常に限られたデータセットでも新しいタスクを効果的に学習できる点にあります。事前に大規模なデータセットで訓練されたモデルの知識を利活用することで、新しいタスクにも迅速に適応することが可能となりました。この方法は、新しいタスクのデータ収集の手間や、再訓練に伴う計算リソースのコストを大幅に削減する利点があります。

Few-shot Learning素晴らしいですね。

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About 武井 宜行 269 Articles
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