早くて安くてウマい( ̄ー ̄)IT勉強会のためのハイブリッド配信環境構築ガイド

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みなさん、こんにちは。サイオステクノロジー武井です。今回はIT勉強会を実施する際のハイブリッド配信環境の構築方法についてお話したいと思います。

ハイブリッド配信

ここ最近、ハイブリッド配信環境の機運が高まっているように感じます。IT勉強会は今まではずっとオンラインのみでしたが、そろそろオフラインも復帰しようといいつつも、やはり遠方の方も気軽に参加できるオンラインも捨てがたい、、、という動機から、ハイブリッド配信を始めようという方もいらっしゃると思います。

しかしながら、ハイブリッド配信は機材にもお金かかりそうだし、セッティングも大変なのでは、、、と二の足を踏んでいる方もいるでしょう。

今回の記事では、できるだけ早く安く簡単にハイブリッド配信の環境を実現する方法をお届けしたいと思います。この方法は実際に弊社で開催しているイベントでも実施している方法で、これからハイブリッド配信環境を実施する方たちのお役に立てればと思います。

前提条件

前提条件として、オフライン、つまり物理的な会場でプロジェクターやマイク、ミキサー、スピーカーなどを用いて、セミナーができる環境があることを想定しております。

つまり図にしますと以下のような環境になります。

ちょっと大きい会議室やイベントスペースなどではよくある構成かと思います。プロジェクターに接続された登壇者用PCの画面がスクリーンに投影されます。マイクとスピーカーはミキサーに接続されていて、登壇者がマイクを通してしゃべった声がスピーカーから聞こえるものとします。

まずはこれを前提として、本当にミニマムなハイブリッド配信環境を構築していきたいと思います。

目指すものは「最低限のハイブリッド配信環境を早く安く簡単に」です。色々と細かい要件を上げればキリが無いのですが、今回はそういうのは考えないこととします。

配信画面の構成

詳細なシステム構成を説明する前に、まずはオンラインの視聴者に配信する画面の構成についてお話いたします。

配信画面は以下のような遷移になります。以下の画面をビデオスイッチャー(後述)で必要に応じて切り替えます。

それぞれの画面について説明いたします。

イベント開始前の待機画面

イベントが開始される前に配信される画面になります。開始時刻やイベントの内容などを配信します。

司会者が話しているときの画面

司会者が話しているときの画面です。いわゆるオープニング・クロージング時のトーク、セッション間のつなぎ(司会の人が次の登壇者のセッションの紹介をするような場面で「XXさん、ありがとうございました。では、次のセッションはYYさんによる、、、」みたいな)です。会場全体を映すようにしています。

登壇者が話しているときの画面

登壇者が話ているときの画面は以下のようになります。

画面左端には、登壇者本人の映像を写します。画面右部には、登壇者PCの画面を写します。画面下部には、いわゆるバナーのようなものを移し、ハッシュタグなど勉強会に必要な情報を移します。

イベント終了後の画面

イベントが終了して、配信を停止するまでに流す画面です。ご視聴いただいた御礼と次回の案内をしたりする画面ですね。

システム構成

弊社のハイブリッド配信環境は以下の通りとなります。

 

ビデオスイッチャー

まずはこの構成の中核をなすのは、ATEM Miniというビデオスイッチャーです。ビデオスイッチャーは複数のHDMIの入力をスイッチで簡単に、そしてスムーズに切り替えることができるものです。

このビデオスイッチャーに「登壇者を映すカメラ」「司会者を映すカメラ」「登壇者のPC(Power Pointのスライドなど)」を入力して、YouTube配信用PCを通してYouTubeに出力します。

YouTube配信用PCとATEM MiniをUSBで接続すると、YouTube配信用PCからはカメラデバイスとして認識されます。つまりWebカメラと同じ位置づけになります。このデバイスを通じてYouTube StudioからYouTubeに配信するという仕組みです。

登壇者撮影用カメラ

登壇者を映すカメラです。「登壇者が話しているときの画面」で登壇者を映すカメラになります。ソニーのHDR-SR11というビデオカメラです。10年以上前のビデオカメラになりますが、一応フルHDで撮影できますし、HDMIパススルー(カメラ自身の余計な情報を省き、レンズに映る映像をそのままHDMI出力できる機能)にも対応しています。画質を追求しなければこれで十分です。中古で1万くらいで購入可能です。

司会者撮影用カメラ

司会者を映すカメラです。「司会者が話しているときの画面」で司会者を映すカメラになります。同じくこれもニーのHDR-SR11になります。

待機画面再生用PC

イベント開始前の待機画面」もしくは「イベント終了後の画面」にて、イベント配信前もしくはイベント終了後の画面を表示するためのPCとなります。弊社の場合は、PowerPointのスライドショーを自動再生していますす。ただ、こちらはPCに表示されているものをビデオスイッチャーを通してそのままYouTubeに配信しますので、PCのディスプレイ上に表示できるものなら動画でも画像ファイルでもなんでもOKです。

登壇者用PC

登壇者が持ち込んだPCになります。このPCの画面は、会場のプロジェクターに投影され、またYouTubeにも配信されます。「登壇者が話しているときの画面」(以下イメージ参照)にて、赤枠で囲っているところになります。

配信チェック用モニター

実際にYouTubeに配信されている画面をチェックするためのモニターになります。ビデオスイッチャーを操作する人は、このモニターを見ることで、自分の操作がが正しく意図通りに行われているかどうかを確認します。

YouTube配信用PC

ビデオスイッチャーとPCをUSBで接続すると、そのPCからはビデオスイッチャーがカメラデバイスとして認識され、ビデオスイッチャーで合成した映像はこのカメラデバイスを通して映し出されます。よって、このYouTube Studioでこのカメラデバイスをライブ配信するように設定すれば、ビデオスイッチャーで合成した映像をYouTubeに配信ができます。YouTube配信用PCは、その役割を担うものとなります。

HDMI分配器

登壇者用PCの映像は、プロジェクタービデオスイッチャーの両方に送る必要があります。HDMI分配器を使ってこれを実現しています。

配線図

こちらが配線図になります。

 

パレット構成

登壇者が話しているときの画面」の画面構成を実現するための方法を説明します。これは、ATEM Miniのダウンストリームキー、アップストリームキーを用いて実現しています。以下がそのイメージ図になります

上図のようにATEM Miniによって配信される映像は「配信画面」「ダウンストリームキー」「アップストリームキー」の順にレイヤーのように重なって出来上がります。

まず一番下のレイヤーの「配信画面」では「登壇者撮影用カメラで撮影された画面」を構成します。

ダウンストリームキーでは、画面下部に表示されているロゴを構成します。これは事前に作成した画像ファイルをダウンストリームキーに登録することで実現できます。

アップストリームキーでは、登壇者用PCからの入力映像を「PICTURE IN PICTURE」の機能によって画面右上に配置し、サイズも調整します。

このようにして最終的に配信される画面は、以下のようになります。

費用

気になる費用です。以下の通りとなります。合計は62,000円となりました。かなりお安く仕上がっているのではないでしょうか?

機材価格
備考
ATEM Mini(ビデオスイッチャー)32,000円2024年1月22日時点(価格変動が大きい)
HDR-SR11(登壇者撮影用カメラ)10,000円中古で購入
HDR-SR11(司会者撮影用カメラ)10,000円中古で購入
待機画面再生用PC普段業務で使っているPCを利用
YouTube配信用PC普段業務で使っているPCを利用
HDMI分配器2,000円
登壇者用PC登壇者持ち込み
配信チェック用モニター8,000円フルHDかつ画質は問わないので中古で購入
合計62,000円

 

カメラは、いわゆるビデオカメラではなくても、HDMIパススルーできるものであれば、一眼レフでも問題ありません。すでに会社などで保有してあるものがありHDMIパススルーに対応しているのであれば、それを使うことでもっと安くなります。モニターも同じくフルHDに対応してあれば何でもいいので、その辺に転がっているものがあれば、それを流用してもよいです。

配信の様子

弊社の配信環境になります。シンプルですよね。真ん中はビデオスイッチャー、左は待機画面再生用PC、右はYouTube配信用PC、正面に置いてあるのが配信チェック用モニターになります。

 

これは登壇者や司会者を映すカメラです。これが会場には2つあります。

この方式を採用した理由

コストと安定性を加味したら一番バランスが取れている構成でした。

配信画面をもっとカスタムしたいならソフトウェアで制御するOBS(Open Broadcaster Software Studio)がよいかと思います。Xのタイムラインも表示することができますし、他にも自由自在に画面をカスタマイズできます。ただし、OBSはPC上で動作するソフトウェアですので、安定性に難があります。また、OBSは結構PCのスペックが必要ですので、そのPCを用意するコストもかかります。ということで、OBSは候補から外れました。ただし、リモートからの登壇者がいる場合には、OBSが必要になることもあります。

ATEM Miniの上位機種であるATEM Mini Proは直接本体からYouTubeに配信できます。つまり今回の構成で言うところのYouTube配信用PCが不要です。YouTube配信用PCも所詮PCですので、安定性には難アリで、このPCがフリーズしたりすると配信が止まります。その点ATEM Mini ProはYouTubeへの配信をハードウェアで処理するので安定性が高いです。ただし、問題はお値段です。ATEM MiniとATEM Mini Proは1万円位の差があるので、ちょっとあれですね。。。

ということで、色々考えた結果、今回ご説明した構成に至りました。

まとめ

超ミニマムな構成ではありますが、それなりなハイブリッド配信ができる構成をご紹介しました。あまり予算をかけずに最低限の配信環境をそろえたいという場合は、結構イケるんじゃないでしょうか?これからハイブリッド配信をする方の参考になればと思います。

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About 武井 宜行 269 Articles
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