はじめに
こんにちは、サイオステクノロジーの小沼 俊治です。
私たち API ソリューション サービスラインでパートナーとしてお取り扱いしている商材の一つである、
SaaS 型の API マネージメントプラットフォームの Kong Konnect で、自然言語にてコントロールプレーンを操作できる Kong Konnect MCP (Model Context Protocol) サーバーが GitHub に公開されました。この MCP サーバーを MCP ホストの Claude に組み込んで使ってみたので、設定方法を共有したいと思います。
何ができるかは、私たちが普段話す言葉で Claude から Kong Konnect を操作するデモンストレーションをご覧ください。
本資料では、既に Kong Konnect で API の管理を行っている方を対象としており、Kong Konnect MCP サーバーを MCP ホストに設定する手順に焦点を当てて解説します。従って、Kong Konnect の利用開始手順や設定、および API ゲートウェイとしての利用方法など、MCP サーバーの設定以外の内容については、本資料の範囲外とさせていただきます。
また、MCP についても既にネット上でたくさんのコンテンツが親切に説明されているので、本資料の範囲外とさせて頂きます。個人的には、KDDIアジャイル開発センター 御田さんが書かれた以下資料がお薦めです。
なお、ハンズオンで利用する機能は Claude の無料プランでお試し頂くことが可能ですが、便利さを感じて頂いたら是非ともアップグレードもご検討ください。
構成概要
筆者が動かした際の主な構成要素は以下の通りです。
- Windows 10 Professional
- Claude desktop for Windows version 0.9.3
- Windows PowerShell 5.1.19041.5737
- Node.js v22.15.0

ハンズオンを構成する環境は以下の通りです。
- MCP ホストは、Claude desktop for Windows のネイティブアプリ版を利用します。
- MCP サーバーの構成における主な考慮事項は以下の通りです。
- Kong Konnect MCP サーバーは TypeScript で実装されているため、MCP サーバーの稼働環境は Node.js を導入します。
- GitHub のリポジトリから取得した TypeScript のソースコードを JavaScript へトランスパイルして、Node.js 環境で MCP サーバーを実行します。
- 実行に当たっては、Kong Konnect から Access Token などの情報を事前に収集します。
基礎環境の構築
Claude desktop for Windows インストール
MCP ホストに Web 版ではなくアプリ版の Claude desktop for Windows を利用するため、以下公式手順を参考に Windows PC へインストールします。
Node.js インストール
JavaScript の実行環境が必要なため、以下手順を参考に Windows PC へ Node.js をインストールします。
事前準備
本章では Kong Konnect にログインして MCP サーバーの動作に必要な各種情報を収集します。
- Kong Admin API を利用して Kong Konnect を操作するため、Access Token を取得します。
- 複数のリージョンを跨いで利用できず一つのリージョンに特定する必要があるため、操作対象のリージョンを選定します。
Kong Konnect 環境から情報収集
Kong Konnect にログイン
Kong Konnect のログインページにアクセスしログインします。

Kong Konnect にログインできたら、次の章に進みます。

Personal Access Token の取得
画面右上のアカウントアイコンをクリックすると表示するアカウント向けメニューから「Personal Access Tokens」を選択します。

Personal Access Token 画面に遷移したら「+ Generate Token」ボタンをクリックしてトークンの発行処理に遷移します。

Generate a Personal Access Token ダイアログで、「Name」に発行する任意のトークン名と、「Expiration」にトークンの有効期限をリストから選択します。必要項目の入力ができたら「Generate」ボタンをクリックしてトークンを発行します。

Personal access token ダイアログで、「Copy」ボタンをクリックしてトークンをクリップボードにコピーして、このダイアログを閉じると二度とトークンの値を確認できないので、必ずコピーして控えておきます。控え終わったら「I’ve copied the token」ボタンをクリックしてダイアログを閉じます。

対象リージョンの選定
画面左下のドロップダウンにて、所属されている組織で利用可能な Kong Konnect のリージョンを切り替えることができるので、MCP を利用したいリージョンを選定します。

選定に際しては、リージョンを切り替えながら Gateway Manager を確認し、自然言語で操作したい Control Plane が存在するかを確認しながら検討していきます。

選べるリージョンの設定値は、以下 GitHub リポジトリの「Optional: The API region to use」から最新情報を確認してください。
Kong Konnect MCP サーバーの環境設定
MCP サーバーの設定
Kong Konnect MCP サーバーの GitHub リポジトリを取得して、MCP ホストの Claude と連携できるように準備します。
GitHub からリポジトリのダウンロード
「ドキュメント」フォルダ配下に、リポジトリを保存して管理する「devlopment
」フォルダを作成します。

- Path:
C:\Users\{ユーザー名}\Documents\development\
{ユーザー名}
はご利用中 PC のユーザー名に置き換えてください。
ブラウザで GitHub の「Kong Konnect MCP Server」のリポジトリにアクセスします。

リポジトリを ZIP ファイルで取得するため、緑色の「Code」ボタンをクリックすると表示するメニューから「Download ZIP」を選択して、名前を付けて保存するダイアログが表示されたら保存するフォルダを指定してダウンロードを開始します。

エクスプローラーでダウンロードした「mcp-konnect-main.zip
」を右クリックして表示するメニューから「すべて展開…」を選択して ZIP ファイルを展開します。

ZIP ファイルから展開された「mcp-konnect-main
」フォルダを、事前に準備した「C:\Users\{ユーザー名}\Documents\development\
」フォルダに移動するため、右クリックで表示するメニューの「切り取り」を選択して切り取ります。
なお、展開後のフォルダ構成が「…\Donwloads\mcp-konnect-main\mcp-konnect-main\…
」のように「mcp-konnect-main
」フォルダが二重に展開されている場合は、下段の「mcp-konnect-main
」フォルダを移動対象にします。

事前に準備した「C:\Users\{ユーザー名}\Documents\development\
」フォルダをアクティブにして、右クリックのメニューから「貼り付け」を選択して「mcp-konnect-main
」を移動します。

フォルダ名を「mcp-konnect-main
」から末尾の main を消し「mcp-konnect
」に変更します。

「C:\Users\{ユーザー名}\Documents\development\mcp-konnect
」フォルダが準備できました。

Git コマンドがインストールされている PC 環境では、Windows PowerShell を使い以下コマンドでリポジトリを取得して頂くことで問題ありません。
PS C:\Users\...\development> git clone https://github.com/Kong/mcp-konnect.git
依存パッケージのインストールとトランスパイル
Windows のスタートメニュー「W」セクションから「Windows PowerShell」を選択して起動します。

Window PowerShell ではコマンドラインベースで操作を行います。

リポジトリを保存したフォルダへ遷移します。
PS C:\Users\...> cd C:\Users\{ユーザー名}\Documents\development\mcp-konnect\
ソースコードが実行時に必要な依存パッケージをインストールします。
PS C:\Users\...\mcp-konnect> npm install
added 109 packages, and audited 110 packages in 2s
18 packages are looking for funding
run `npm fund` for details
found 0 vulnerabilities
依存パッケージが格納された「node_modules
」フォルダが新たに出来上がったことを確認します。
PS C:\Users\...\mcp-konnect> ls
Mode LastWriteTime Length Name
---- ------------- ------ ----
d----- 2025/05/06 11:14 node_modules <--- 出来上がっている
d----- 2025/05/06 10:57 src
:
ビルドして TypeScript のソースコードから Node.js で実行できる JavaScript のソースコードへトランスパイルします。
PS C:\Users\...\mcp-konnect> npm run build
> kong-konnect-mcp@1.0.0 build
> tsc
ビルド先の「build
」フォルダが新たに出来上がり、MCP サーバーの起動を担う「build\index.js
」が出来上がったことを確認します。
PS C:\Users\...\mcp-konnect> ls build\
Mode LastWriteTime Length Name
---- ------------- ------ ----
d----- 2025/05/06 11:29 operations
-a---- 2025/05/06 11:29 5672 api.js
-a---- 2025/05/06 11:29 5675 index.js <--- 出来上がっている
-a---- 2025/05/06 11:29 5617 parameters.js
:
Claude(MCP ホスト)の設定
Kong Konnect MCP サーバーが Claude で利用できるように設定します。
連携先 MCP サーバーの設定
Windows のスタートメニュー「A」セクションから「Anthropic > Claude」を選択して起動します。

Claude が起動したら画面左上のハンバーガーメニューから「ファイル > 設定…」を選択します。

Kong Konnect MCP サーバーが利用できるようにするために、「開発者」タブの「構成を編集」ボタンをクリックします。

エクスプローラーが立ち上がり、Claude の設定ファイルに該当する「claude_desktop_config.json
」ファイルをダブルクリックしてエディターで開きます。

「claude_desktop_config.json
」ファイルに Kong Konnect MCP サーバーを利用するための設定をエディターで記述して保存します。
{
"mcpServers": {
"kong-konnect": {
"command": "node",
"args": [
"C:\\Users\\{ユーザー名}\\Documents\\development\\mcp-konnect\\build\\index.js"
],
"env": {
"KONNECT_ACCESS_TOKEN": "kpat_1234567890abcdefghijklmnopqrstuvwxyz12345678890ab",
"KONNECT_REGION": "us"
}
}
}
}
「claude_desktop_config.json
」ファイルの編集における主な考慮事項は以下の通りです。
- 「mcpServers > kong-konnect > args」フィールドで主な考慮事項は以下の通りです。
- node コマンドが MCP サーバーとして起動する「
index.js
」の Path を指定します。 - Path にある「
{ユーザー名}
」は PC で利用しているユーザー名に置き換えます。 - Path でフォルダの区切りを示す「
\
」は二重の「\\
」で書く必要があります。
- node コマンドが MCP サーバーとして起動する「
- 「mcpServers > kong-konnect > env」フィールドで主な考慮事項は以下の通りです。
- MCP サーバーを起動する際に必要となる環境変数を指定します。
- 「
KONNECT_ACCESS_TOKEN
」環境変数には、「Personal Access Token の取得」章で取得した Access Token を記載します。 - 「
KONNECT_REGION
」環境変数には、「対象リージョンの選定」章で取得したリージョンの設定値を記載します。
Claude の再起動で設定反映
変更した設定ファイルの適用には、ウィンドウの「×」ボタンで終了させるだけではなく、Claude のプロセスを完全に終了させる必要があるため、Windows タスクバーの画面右側のアイコン表示領域から Claude アイコン(トゲトゲのウニの様なデザイン)を探し、右クリックで表示されるメニューから「終了」を選択してプロセスを完全に終了させます。

Windows のスタートメニュー「A」セクションから「Anthropic > Claude」を選択して起動します。

Claude が起動したら画面中央のテキストボックス内の左下にある「検索とツール」アイコンをクリックします。表示されたメニューに、「kong-konnect」の項目と右横に数字が表示されていたら、Kong Konnect MCP サーバーは正常に設定できました。

Kong Konnect MCP サーバーのデモ
私たちが普段話す言葉で Claude から Kong Konnect を操作するデモンストレーションをご覧ください。
- KongでControl Plane一覧を教えてください
- Kongの以下Gatewayにあるサービス一覧を教えてください
- poc_hands-on-mcp-sios-apisl
まとめ
Kong Konnect MCP サーバーの組み込みとデモンストレーションはいかがでしたでしょうか。Kong に限らず、ミドルウェアベンダー各社から設定を簡略化する MCP サーバーが提供されていますので、ぜひ色々と試してみていただければと思います。