こんにちは、サイオステクノロジー 前田です。
今回はOpenShiftのセルフマネージド利用時のサブスクリプションの内容と選択方法について記載していきます。OpenShiftを利用する方法は様々ありますが、OpenShiftセルフマネージドの利用時のサブスクリプションによる費用や利用できる機能の範囲が気になると思います。そちらの悩みを取り除くために情報をまとめてお伝えいたします。
OpenShiftセルフマネージドとは
OpenShift(Red Hat OpenShift)は、各種クラウドプロバイダーが提供しているマネージドOpenShiftとオンプレミスなどに自分で構築して利用するセルフマネージドOpenShiftの2つがあります。
セルフマネージドOpenShiftはOCP(OpenShift Container Platform)とよく呼ばれ、AWSやAzure等のパブリッククラウドリソース、VM Ware vSphereや ベアメタル等の物理サーバに構築し全ての運用をユーザー自身で行います。
OpenShiftのサブスクリプションについて
OpenShiftセルフマネージドを利用するためにはサブスクリプションを適用します。
Red HatのサブスクリプションにはOpenShiftの名がついたサブスクリプションが複数あります。OpenShiftで利用するアプリケーションのサブスクリプションと、OpenShiftのクラスターのサブスクリプションが存在します。本記事の内容で取り扱う内容はOpenShiftのクラスターのサブスクリプションになります。
OpenShiftのサブスクリプションは、OpenShiftというアプリケーションの費用ではなく、OpenShiftというクラスターの費用と考えてください。そのため、OpenShiftのOSであるRHCOSやOpenShiftを構成する複数のアプリケーション(Kubernetes等)もサブスクリプションの範囲に含まれます。
OpenShiftのサブスクリプションの数は、ワーカーノードというアプリケーションを動かすサーバのCPUの数で必要な個数が変わります。
OpenShiftセルフマネージドの主なサブスクリプション種類
OpenShiftセルフマネージドの主なサブスクリプションを下記に記載します。
- Red Hat OpenShift Container Platform
- Red Hat OpenShift Kubernetes Engine
- Red Hat OpenShift Platform Plus
Red Hat OpenShift Container Platform
OpenShiftのサブスクリプションの話の場合、多くの人がこちらのサブスクリプションのことを話しています。Kubernetes運用および開発を支援する拡張機能を提供します。モニタリング機能、ログマネジメント機能、CI/CDツール等のコンテナ環境における有用なツールのほかに開発ツールや、いくつものテンプレート等が用意されています。
Red Hat OpenShift Kubernetes Engine
Red Hat OpenShift Container Platformから機能を限定してコストを下げたものになります。開発者コンソールがなく、ログマネジメント機能等がないものです。セキュリティの高いKubernetesが欲しい方で、開発者機能や、運用機能の提供は最低限でよい、もしくは自分のアプリケーションで設定するユーザが対象になります。
Red Hat OpenShift Platform Plus
Red Hat OpenShift Container Platformに機能を追加したものになります。高度なマルチクラスターセキュリティ機能、高度なレジストリ機能が追加されます。サブスクリプションにはRed Hat Advanced Cluster Management for Kubernetesが含まれております。こちらは個別で購入もできるものとなります。個別での購入ができるものをまとめて安価に利用できるサブスクリプションになります。
検証&クラスター構築時
OpenShiftのサブスクリプションはクラスター構築後に設定するタイプになります。検証時&構築直後にはOpenShift Cluster Manager(https://console.redhat.comに存在するOpenshiftのクラスタやライセンス管理サイト)でサブスクリプションが適応されていない状態で60日間利用できる状態になります。
余談にはなりますが、検証利用時には「Red Hat Developer Subscription for Individuals」がRedHat Customer portal上のサブスクリプションに表示されます。このサブスクリプション範囲内のアプリケーションを利用することができます。
OpenShiftサブスクリプションの選択方法
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サブスクリプション選択の方法
- サブスクリプションを選択する悩みを解決するために下記に簡易検討フローを作成いたしました。詳細な選択にはほかの考慮も必要になる場合もありますが、選択の目安として利用していただければと思います。
詳細な情報についてはRedHatの下記情報をご参照ください
- Red Hat OpenShift Platform Plus
- Red Hat OpenShift サイジングおよびサブスクリプション・ガイド
- About OpenShift Kubernetes Engine
最後に
OpenShiftは機能が多くあり、RHELとは違うRHCOSというOSでSSH接続等で手動設定変更しないOSのため既存のRHELの運用や設計方針を引き継ぐのは難しいです。クラスターの構築はIPIという構築ツールを使えば簡単になりました。しかし、構築後にサブスクリプションを適応して、適切な構成を決めるのは自由度が高いため逆に難しくなっております。サブスクリプションの選択からOpenShiftの構成を決める手助けになればと思います。