【第9回】 Linux/OSS エヴァンジェリスト古賀政純の 『オープンソース・Linux超入門』 Linuxサーバーシステム導入前の検討~ Ubuntu Serverを知る ~

今回のゲストブログは、日本ヒューレット・パッカード社オープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリスト 古賀政純さんです。前回に引き続き、「Linuxサーバーシステム導入前の検討」として、Linuxディストリビューション Ubuntu Serverについて紹介します。(2016年10月19日)

 Ubuntu Serverの概要を知る

Ubuntu Serverは、Ubuntuコミュニティの支援や開発の援助を行うために設立されたCanonical社が提供しているLinuxディストリビューションです。Webシステムやクラウドサービスなどの、スケールアウト環境において多く採用されています。

Ubuntu Serverは、もともとは、Debian(デビアン)と呼ばれるLinuxディストリビューションがベースになっており、クラウド基盤OSとしての独自の進化を遂げています。Ubuntuは、コミュニティのWebサイトから自由にダウンロードして利用することができます。

導入時や継続的な利用において、ライセンス費用、サブスクリプションコストが一切かからないというのが特徴的です。昔はベンダーのサポートがなく、無保証のOSとして利用されていましたが、ハードウェアベンダーの有償保守サポートが受けられるようになり、商用システムでも利用されるようになりました。

Ubuntuがスケールアウト型システムで採用されている理由

大量のサーバーを並べてアプリケーションの応答速度などをスケールさせるシステムは、スケールアウト型システムと呼ばれます。多くのスケールアウト型システムでは、Ubuntu Serverが採用されていますが、その理由の一つとしては、Ubuntu Serverに内蔵されているMaaS(メタル・アズ・ア・サービス)があげられます。

MaaSは、OSがインストールされていない物理サーバー(ベアメタルサーバー)を用意し、MaaSサーバーと呼ばれる管理サーバーから、ベアメタルサーバーに対してUbuntu Serverを無人インストールする仕組みを提供します。この仕組みにより、スケールアウト型システムのように、大量にサーバーが稼働するシステムで、OSのインストール作業を劇的に省力化できるのです。

MaaSの仕組み自体は、非常に基本的な技術で構成されていますが、OSに付属しているために、管理サーバーの構築も非常に簡単に行えるため、ゼロから手動で管理サーバーを構築していたときに比べ、少ない手順で無人インストール環境を構築することができます。

MaaSを使った無人インストール環境の構築手順は、筆者が執筆した記事がありますので、実際にUbuntu Serverの無人インストールを体験したい場合は、参考にしてみてください。

[実践編] MaaSとJujuによるOSS配備、Ubuntu Serverの運用・管理(前編)
https://thinkit.co.jp/story/2014/03/25/4877

オープンソースのオーケストレーション機能を提供するJuju

MaaSとならんで、Ubuntu Serverの特徴の一つが、Juju(ジュジュ)とよばれるオープンソースソフトウェアのオーケストレーションツールへの対応です。

Jujuは、GUIのドラッグアンドドロップ操作により、OSが入っていない状態の物理サーバーにUbuntu Serverとオープンソースを自動的に配備し、さらに、オープンソースソフトウェア同士の連係(データベースとアプリケーションサーバーなど)も簡単なマウス操作で実現できます。このJujuは、Ubuntu Server上で稼働させることができ、コミュニティによる活発な開発が続いています。Jujuについても、筆者が執筆した記事がありますので、是非ご覧ください。

[実践編] MaaSとJujuによるOSS配備、Ubuntu Serverの運用・管理(後編)
https://thinkit.co.jp/story/2014/03/26/4878

 

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Ubuntu Serverのリリース情報を確認する

Ubuntu Serverの場合は、ハードウェアベンダーによって保守サポートが可能なLTS(Long-Term Support)版と、ベンダーのサポートがない通常版に分けられます。

有償サポートが必要な場合は、LTS版のリリースノートを確認しておきます。LTS版は、リリースされてから5年間サポートされるバージョンです。Ubuntu Serverのバージョンは、リリースされた年月とポイントリリースと呼ばれる番号の組み合わせで表されます。

例 えば、2016年4月にリリースされたバージョンは、Ubuntu Server 16.04 LTSとなり、さらに16.04 LTSからポイントリリースごとに、16.04.1 LTS、16.04.2 LTSというバージョン表記になります。機能追加やバグフィックス等が行われたものがポイントリリースに取り込まれます。

ポイントリリースごとにChange Summary(チェンジサマリ)と呼ばれる機能追加やバグ修正等の変更点に関する情報が公開され、インストール用のisoイメージファイルも提供されます。

Ubuntuのドキュメント入手先
https://wiki.ubuntu.com/Releases

 

Ubuntu Serverを提供しているハードウェアベンダーのサイトをチェック

SUSE同様に、Ubuntu Serverを提供しているハードウェアベンダーの保守内容をチェックしておきます。ハードウェアベンダーの技術支援が受けられるUbuntu Serverのオープンソースソフトウェアに関する情報は、以下のURLから入手できます。

Ubuntu Serverに関するソフトウェア・テクニカル・サポート対象製品リスト
http://h50146.www5.hpe.com/services/cs/availability/sw/list/hpe/ts_ubuntu.html

今回は、Ubuntu Serverについて紹介しました。
次回は、Red Hat Enterprise Linuxを取り上げます。お楽しみに!

 

 

【筆者プロフィール】

古賀政純(こが・まさずみ)
日本ヒューレット・パッカード株式会社
オープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリスト

兵庫県伊丹市出身。1996年頃からオープンソースに携わる。2000年よりUNIXサーバーのSE及びスーパーコンピューターの並列計算プログラミング講師、SIを経験。2006年、米国ヒューレット・パッカードからLinux技術の伝道師として「OpenSource and Linux Ambassador Hall of Fame」を2年連続受賞。プリセールスMVPを4度受賞。

現在は、日本ヒューレット・パッカードにて、Hadoop、Spark、Docker、OpenStack、Linux、FreeBSDなどのサーバー基盤のプリセールスSE、文書執筆を担当。日本ヒューレット・パッカードが認定するオープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリストとして、メディアでの連載記事執筆、講演活動なども行っている。Red Hat Certified Virtualization Administrator, Novell Certified Linux Professional, Red Hat Certified System Administrator in Red Hat OpenStack, Cloudera Certified Administrator for Apache Hadoopなどの技術者認定資格を保有。著書に「Mesos実践ガイド」「Docker 実践ガイド」「CentOS 7実践ガイド」「OpenStack 実践ガイド」「Ubuntu Server実践入門」などがある。趣味はレーシングカートとビリヤード。

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