【第21回】 Linux/OSS エバンジェリスト古賀政純の『オープンソース・Linux超入門』 Red Hat系の派生Linuxディストリビューション「CentOS 7」を知る

今回のゲストブログは、日本ヒューレット・パッカード社オープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリスト 古賀政純さんです。 以前の連載記事では、Ubuntu Server、SUSE Linux Enterprise Server、Red Hat Enterprise Linuxを簡単にご紹介しました。今回は、それ以外のサーバー基盤で利用される無償のLinuxディストリビューションとして、CentOSを簡単に取り上げます。(2017年12月25日)

CentOS(Community Enterprise Operating System)

CentOSは、RHELと互換性の高いOSとして知られており、国内外問わず人気のOSです。RHELのソースコードから、Red Hat社の商標を削除し、CentOSコミュニティが独自に再ビルドし、パッケージングしたOSです。RHEL OEM提供を行っているハードウェアベンダーやRed Hat社のサポートなども一切ありませんが、無償で利用できるOSです。ホスティングサービスのプロバイダー、オンラインゲームサーバー、スケールアウト型のビッグデータ基盤、NoSQL基盤、HPCクラスター、メールサーバー、DNSサーバー、社内SNS基盤、コンテナ基盤など、様々な分野で採用されています。

 

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図. CentOSが利用されているシステムの例

CentOSは、ベンダーからユーザーへの直接サポートが提供されません。CentOSは、RHELに十分に類似していることが実証されており、商用版のLinuxを提供する各ベンダーもそのことを確信していますが、CentOSは、ハードウェアベンダーのサーバー環境やベンダーの商用ソフトウェア製品との組み合わせで正式にサポートされているものではない点に注意しなければなりません。すなわち、RHELで正式にサポートされている環境だからという理由で、CentOSがベンダーによって正式にサポートされるわけでは決してありません。

また、RHELの場合は、ベンダーによって十分なテストが行われ、ベンダーの動作認定を受けますが、CentOSの場合は、ベンダー自身としても全面的なテストを行っているわけではありません。ちなみに、筆者が所属するヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)の場合は、ユーザーの利便性を考え、動作確認(保守サポートが受けられるという意味での「動作認定」ではありません)までの情報提供、および、CentOSで稼働する周辺の管理ツール類の提供などを、HPEのダウンロードサイトやソフトウェアリポジトリサイトで行っています。通常のRHELの保守サポートとは別に、ベンダーからオープンソースの構築サービスなどもあります。ベンダーによって、RHELとCentOSでは、構築や保守のスキームが異なる点に注意が必要です。

サポートマトリックス

米国HPEでは、2013年12月からCentOSの動作確認情報を記した「サポートマトリックス」が提供されています。CentOSで稼働できる機種や制限事項などが記載されていますので、是非ご覧ください。ただし、HPEでは CentOSに対してRHELのような有償保守サポートを提供している訳ではありませんので、ご注意ください。HPEが提供しているCentOSの動作確認情報を掲載しておきますので、参考にしてみてください。

【参考情報】
・HPE Servers Support & Certification Matrices – CentOS Certification and Support
http://h17007.www1.hpe.com/us/en/enterprise/servers/supportmatrix/cent_os.aspx

・HPE Servers Support & Certification Matrices – CentOS Minimum Operating System Requirements
http://h17007.www1.hpe.com/uk/en/enterprise/servers/supportmatrix/exceptions/cent_exceptions.aspx

 

CentOS 7のEnd-of-Life(通称、EOL)

CentOS 7は、2017年12月現在、7.4.1708というバージョンが最新です。今後もRHELの新バージョンがリリースされるたびに、それに対応してCentOSもリリースされていきます。CentOSは、メジャーバージョンごとにOSのEnd-of-Life(通称、EOL)が異なります。CentOS 7のEOLは、2024年6月30日までとなっています。

CentOSのEOLに関する情報:

https://wiki.centos.org/FAQ/General#head-fe8a0be91ee3e7dea812e8694491e1dde5b75e6d

 

CentOS 7のインストーラーisoイメージ

CentOS 7は、通常、物理サーバーのハードディスクドライブにインストールする場合、インストール用のisoイメージをDVDメディアに記録し、DVDブートします。代表的なisoイメージには、必要最小限のパッケージを含んだ「Minimal ISO」、通常のサーバー用途やワークステーション用途などで利用される「DVD ISO」、全てのパッケージを含んだ「Everything ISO」などが存在します。通常、物理サーバーや仮想マシン上にDVDブートによって人間の目視とキーボード、マウス操作でインストールする場合は、「Minimal ISO」、「DVD ISO」、「Everything ISO」を使います。「Minimal ISO」、「DVD ISO」、「Everything ISO」の3つは、インターネットにアクセスできない閉じたローカル環境でもインストールが可能です。

一方、CentOSコミュニティのリポジトリにインターネット経由でアクセスしてパッケージをダウンロードして、OSのインストールを行う「NetInstall ISO」も存在します。その他にも、ハードディスクへのインストールを行わずにDVDブートを行った後に、ディスクレスのインメモリマシン上でデスクトップ画面まで稼働させる「LiveGNOME ISO」や「LiveKDE ISO」もあります。「LiveGNOME ISO」と「LiveKDE ISO」は、ハードディスクへインストールせずにデスクトップ画面を利用するクライアントPCなどに向いています。セキュリティの観点から、ハードディスクドライブに過去のアクセス記録やデータを残すことが許されない環境では、威力を発揮します。

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図. CentOSのISOイメージの種類

CentOS 7のISOイメージの入手先URL:

http://isoredirect.centos.org/centos/7/isos/x86_64/

 

CentOS 7のバージョン

CentOS 6系において、例えば、RHEL 6.8相当のものは、CentOS 6.8と表記されますが、CentOS 7系では、相当するRHEL 7のバージョン番号にリリース年月が付与されたバージョン番号になります。例えば、RHEL 7.4に相当するCentOSは、「CentOS 7.4.1708」というバージョン番号が付与されます。

CentOS 7のISOイメージに含まれるパッケージの確認

CentOS 7は、RHELの派生ディストリビューションですので、RHELと同様にRPMパッケージで構成されています。RPMパッケージは、一般に、CentOSに含まれるyumコマンドを使ってインストールを行いますが、ISOイメージが提供されているWebサーバーからもWebブラウザを使って個別に入手が可能です。

CentOS 7.4.1708に含まれるRPMパッケージ:

http://mirrors.xmission.com/centos/7.4.1708/os/x86_64/Packages/

 

CentOS 7のインストール画面

CentOS 7のインストール画面としては、グラフィカルモードとテキストモードの2種類があります。マウスとキーボードを使ったグラフィカルモードは、テキストモードに比べ、直感的な操作でインストールできます。CentOSのグラフィカルインストールモードでの画面では、利用するタイムゾーン、キーボードの種類、OSで利用する言語、インストール元のメディア、パッケージ選択、インストール先のディスクのパーティション設定、クラッシュ時におけるLinuxカーネルのメモリダンプの取得有無、ネットワーク設定、セキュリティ設定などを行います。

 

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図. CentOS 7.4のグラフィカルモードでのインストール画面

CentOS 7におけるテキストモードでのインストールは、キーボード操作ですこし慣れが必要ですが、それほど難しくありません。通常、なにも考えずにDVDメディアでブートした場合は、グラフィカルモードでのインストールが起動しますが、ディスプレイの解像度やグラフィックボードの都合でどうしてもグラフィックモードでインストーラーが起動できない場合は、テキストモードでインストールを行います。

 

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図. CentOS 7.4のテキストモードでのインストール画面

 

CentOSのqcow2形式のイメージを知る

CentOS 7は、KVM(Kernel Virtual Machine)が稼働する仮想化基盤やクラウド基盤さえあれば、CentOS 7をインストールせずに、すぐに仮想マシンとして使えるイメージファイルが提供されています。このイメージファイルは、通称、「qcow2形式のイメージ」と呼ばれており、仮想マシンのイメージファイルです。qcow2形式のイメージとしては、KVMベースの仮想化基盤(Linux上でKVMの仮想化エンジンが稼働している環境か、RHEVのようなKVMベースの仮想化専用OSなど)やKVMが稼働するOpenStackクラウド基盤向けのqcow2形式イメージが用意されています。

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図. CentOSのqcow2イメージの利用環境

CentOSのqcow2形式のイメージファイルの入手先URL:

https://cloud.centos.org/centos/7/images/

 

CentOS 7は、OSのインストールに限らず、OSSの構築のノウハウ、トラブルシューティングの具体例などもインターネットに膨大に掲載されており、国内外を問わず、様々な分野で広く浸透しているLinuxディストリビューションです。無料で入手できることもあり、Linuxの初心者は、まずCentOSを勉強しておくとよいでしょう。

次回は、Red Hat派生ディストリビューションの中でも、科学技術計算向けのLinuxディストリビューションについて取り上げます。お楽しみに。

【筆者プロフィール】

古賀政純(こが・まさずみ)
日本ヒューレット・パッカード株式会社
オープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリスト

兵庫県伊丹市出身。1996年頃からオープンソースに携わる。2000年よりUNIXサーバーのSE及びスーパーコンピューターの並列計算プログラミング講師、SIを経験。2006年、米国ヒューレット・パッカードからLinux技術の伝道師として「OpenSource and Linux Ambassador Hall of Fame」を2年連続受賞。プリセールスMVPを4度受賞。

現在は、日本ヒューレット・パッカードにて、Hadoop、Spark、Docker、OpenStack、Linux、FreeBSDなどのサーバー基盤のプリセールスSE、文書執筆を担当。日本ヒューレット・パッカードが認定するオープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリストとして、メディアでの連載記事執筆、講演活動なども行っている。Red Hat Certified Virtualization Administrator, Novell Certified Linux Professional, Red Hat Certified System Administrator in Red Hat OpenStack, Cloudera Certified Administrator for Apache Hadoopなどの技術者認定資格を保有。著書に「Mesos実践ガイド」「Docker 実践ガイド」「CentOS 7実践ガイド」「OpenStack 実践ガイド」「Ubuntu Server実践入門」などがある。趣味はレーシングカートとビリヤード。

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