JAXA MCPで地球を感じる


はじめに

PSSLの佐々木です

JAXAが面白いものを公開しました。

JAXA Earth API の MCPサーバー対応です。

MCP(Model Context Protocol)とは、AIアシスタントが外部ツールと連携するための仕組みです。これにより、Claude Desktopから「富士山の植生を見せて」と話しかけるだけで、実際の衛星データを取得できるようになりました。

今回はこれらのデータを利用して地球を感じてみようと思います。

本記事を作成するにあたり技術的な環境構築にはぴっかりん様のブログを参考に環境を作らせていただきました。

https://zenn.dev/ra0kley/articles/cb2fc726f167da


JAXA Earth API MCP の設定方法

このブログで使用した画像は、すべてClaude Desktop + JAXA MCPサーバーで取得しています。Windows WSL Claude Desktopで環境構築をする際の参考にしていただければと思います。

環境

  • Claude Desktop
  • uv(Pythonパッケージマネージャー)
  • WSL2(Windows環境の場合)

セットアップ手順

  1. プロジェクト作成
uv init jaxa-earth-mcp
cd jaxa-earth-mcp

  1. ライブラリインストール
uv add jaxa-earth --extra-index-url <https://data.earth.jaxa.jp/api/python/repository/>
uv add mcp

  1. mcp_server.py を配置(公式ドキュメントからダウンロード)
  2. claude_desktop_config.json を編集
{
  "mcpServers": {
    "jaxa_api_tools": {
      "command": "wsl",
      "args": [
        "bash",
        "-c",
        "cd /path/to/jaxa-earth-mcp && /home/user/.local/bin/uv run --with mcp --with jaxa-earth --extra-index-url <https://data.earth.jaxa.jp/api/python/repository/> mcp_server.py"
      ]
    }
  }
}

  1. Claude Desktop を再起動

使用例

富士山周辺(緯度35.3、経度138.7、半径30km)の植生指数(NDVI)を
2025年7月のデータで表示して。画像サイズは小さめで。


第1章 富士山の四季

日本人なら誰もが知る富士山。標高3,776m、日本最高峰です。

この山を、宇宙から1年を通して眺めてみました。使用したのは「植生指数(NDVI)」というデータです。植物の活性度を表す指標で、値が高いほど緑が豊かであることを示しています。

1月(冬)

冬の富士山周辺です。青〜緑の領域が多くなっています。植物は休眠し、山頂付近は雪に覆われています。

4月(春)

 

春の訪れです。徐々に黄色〜オレンジの領域が増えてきています。裾野から緑が芽吹き始めています。

7月(夏)

 

夏です。オレンジ〜赤の領域が広がっています。富士山の森林限界より下は、生命力に満ちた緑で覆われています。

10月(秋)

秋です。まだ緑は残っていますが、徐々に活性度が下がり始めています。紅葉の季節、そして冬への準備が始まっています。


4枚を並べてみると、富士山が「呼吸」しているのがわかります。

宇宙から見ても、日本には確かに四季があります。当たり前のことですが、衛星データで可視化されると不思議な感動があります。


第2章 ナイル川の恵み

場所を変えて、エジプトへ向かいます。

古代ギリシャの歴史家ヘロドトスは、エジプトを「ナイルの賜物」と呼びました。砂漠の国エジプトが文明を築けたのは、ナイル川がもたらす水と肥沃な土壌のおかげです。

5000年前の人々が見上げた空には、人工衛星などありませんでした。でも今、私たちは宇宙からその恵みを確認できます。

砂漠の茶色の中に、ナイル川沿いだけが燃えるように赤くなっています。

赤は植生指数が高い、つまり緑が豊かな場所です。左下の青は地中海です。

この「赤い部分」こそが、古代エジプト人が「ナイルの賜物」と呼んだ恵みの正体です。宇宙から見ると、人類が数千年かけて作り上げた農地が、砂漠に浮かぶオアシスのように見えます。


第3章 桜島の熱

次は、地球が「生きている」ことを感じる場所へ向かいます。

鹿児島県の桜島。年間数百回の噴火を繰り返す、日本で最も活発な火山の一つです。

今度は「地表面温度」のデータを使います。衛星「しきさい」が捉えた、地面の温度です。

グラフの右側にある凡例を見てください。単位は「Kelvin(ケルビン)」で、約284〜290Kの範囲が表示されています(摂氏に換算すると約11〜17℃)。

画像の中で、周囲より温度が高い部分(黄色〜赤)が見えます。これが桜島周辺の地熱の影響です。海(青い部分)と比べると、陸地、特に火山周辺の温度が高いことがわかります。

火山の熱が、宇宙からも見えるのです。

地球は約46億年前に生まれ、今もその内部は熱を持っています。マグマが地表近くに上がってくる場所、それが火山です。

桜島の熱は、地球が今も「生きている」証拠です。私たちは、巨大な熱源の上で暮らしています。


第4章 黒潮を追う

海に目を向けましょう。

黒潮。日本近海を流れる世界最大級の暖流です。古来、漁師たちはこの黒潮を追いかけ、豊かな漁場を求めました。

「海面水温」のデータを見てみます。

グラフの右側の凡例を見てください。単位は「degreeC(摂氏)」で、約20〜24℃の範囲が表示されています。

画像を見ると、南側(下)が赤く、北側(上)が青くなっています。これが黒潮の影響です。南から暖かい海水が流れ込み、北に向かうにつれて徐々に冷たくなっていく様子がわかります。赤とオレンジの境界線あたりが、まさに黒潮の流れている場所です。

暖かい海水が赤く、冷たい海水が青く表示されています。

黒潮は、フィリピン沖から日本列島に沿って北上します。この暖流が日本の気候を温暖にし、豊かな漁場を生み出しています。

1000年前の漁師も、この同じ海流を追いかけていました。彼らは経験と勘で黒潮を読んでいました。今、私たちは宇宙からその流れを俯瞰できます。

技術は変わっても、海は変わりません。いや、変わりつつあるのかもしれません。


第5章 北極からの警告

最後に、地球の「今」を見つめる場所へ向かいます。

北極海。地球上で最も気候変動の影響を受けている場所の一つです。

「海氷密接度」のデータです。海面がどれだけ氷で覆われているかを示しています。

グラフの右側の凡例を見てください。単位は「%」で、0〜100%の範囲が表示されています。これは海面がどれだけ氷で覆われているかの割合です。

画像を見ると、北極点に近い中央部分が白〜ピンク(80〜100%)で、ほぼ完全に氷で覆われています。一方、周辺部に向かうにつれて青くなり、氷が少ない(または無い)海域が広がっています。特に画像の左下や右下の青い部分は、氷が溶けて海水が露出している場所です。

白い部分が氷、青い部分が海水です。

北極の氷は、過去数十年で確実に減少しています。それは数字としては知っていました。でも、衛星データとして「見る」と、また違った実感があります。

地球は確実に変化しています。その変化を、人工衛星は静かに記録し続けています。


おわりに

JAXAのMCPサーバーを使って、地球を巡る旅をしてみました。

  • 富士山の四季
  • ナイル川の恵み
  • 桜島の鼓動
  • 黒潮の流れ
  • 北極の氷

すべて、宇宙から見た地球の「表情」です。

人工衛星という人類の目が、24時間365日、地球を見守っています。そのデータが、今やAIアシスタントへの一言で取得できます。

「富士山の緑を見せて」

たったこれだけで、宇宙からの視点を借りられる時代になりました。

地球は美しい。そして、儚い。

だからこそ、見続けることに意味があるのです。

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