Dockerイメージの選び方ガイド

PSSLの佐々木です。 Dockerを使っていると、同じアプリケーションでも様々なイメージタグが用意されています。node:18node:18-slimnode:18-alpineなど、どれを選べばいいのか迷ってしまうことはありませんか?

例えばPythonのDocker Imageはversion 3.13.5系だけでもこんなにあります。とほほ。。

この記事では、各Dockerイメージの種類とその特徴、そして「どんな時に使うべきか」を明確にします

主要なDockerイメージの種類

1. 標準イメージ(Latest/バージョン指定)

例: node:18python:3.11nginx:latest

特徴:

  • 最も完全なパッケージセット
  • 開発に必要なツールやライブラリが豊富
  • サイズは大きめ(通常数百MB〜1GB以上)
  • Debianベースが多い

こんな時に選ぶべき:

  • 開発環境やテスト環境
  • パッケージの互換性問題を避けたい
  • 初心者や学習目的
  • プロトタイピング段階

2. Slimイメージ

例: node:18-slimpython:3.11-slim

特徴:

  • 不要なパッケージを削除した軽量版
    • 削除される例:curlwgetgitvimnanomanページ、ドキュメント類
    • 残されるもの:パッケージマネージャー(apt)、基本的なシステムライブラリ
  • 標準イメージの約50-70%のサイズ
  • 基本的な開発ツールは含まれている
  • Debianベースだが最小限のパッケージ

こんな時に選ぶべき:

  • 本番環境でサイズを抑えたい
  • 標準イメージでは大きすぎるが、Alpineは不安
  • CI/CDでのビルド時間を短縮したい
  • セキュリティ面でパッケージ数を減らしたい

3. Alpineイメージ

例: node:18-alpinepython:3.11-alpinenginx:alpine

特徴:

  • Alpine Linuxベース(軽量ディストリビューション)
  • 極めて小さなサイズ(通常10-100MB)
  • muslcライブラリを使用(glibcではない)
  • パッケージマネージャーはapk
  • 最小限のパッケージ構成
    • 基本的なシェル(ash)のみ
    • bashcurlgitvimなどは含まれない
    • セキュリティを重視した最小構成

こんな時に選ぶべき:

  • 最小限のサイズが必要
  • マイクロサービス環境
  • コンテナの起動速度を重視
  • リソース使用量を最小限に抑えたい

注意点:

  • ネイティブ拡張でコンパイルエラーが発生する可能性
  • 一部のパッケージが利用できない場合がある
  • デバッグツールが限定的

4. Scratchイメージ

例: FROM scratch

特徴:

  • 完全に空のイメージ
  • 極小サイズ(数KB〜数MB)
  • シェルやパッケージマネージャーなし
  • 静的バイナリのみ実行可能

こんな時に選ぶべき:

  • Go言語の静的バイナリ
  • セキュリティを最優先
  • 極限までサイズを削減したい
  • 攻撃面を最小限に抑えたい

実際のタグ選択:Python 3.13.5を例に

実際にDockerイメージを選ぶ際、以下のような大量のタグが存在します:


3.13.5-bookworm, 3.13-bookworm, 3-bookworm, bookworm
3.13.5-slim-bookworm, 3.13-slim-bookworm, 3-slim-bookworm, slim-bookworm, 3.13.5-slim, 3.13-slim, 3-slim, slim
3.13.5-alpine3.22, 3.13-alpine3.22, 3-alpine3.22, alpine3.22, 3.13.5-alpine, 3.13-alpine, 3-alpine, alpine
3.13.5-windowsservercore-ltsc2025, 3.13-windowsservercore-ltsc2025, 3-windowsservercore-ltsc2025, windowsservercore-ltsc2025

推奨される選択方法

1. バージョン指定の基本ルール

  • python:latestpython:3 – 予期しないバージョンアップで動作不良の可能性
  • python:3.13.5 – 具体的なバージョンを指定
  • python:3.13 – マイナーバージョンを固定(パッチ更新は自動)

2. 実際の選択例


# 開発環境:最新の安定版を使用
FROM python:3.13.5-bookworm
# または単純に
FROM python:3.13.5

# 本番環境:Slimで軽量化
FROM python:3.13.5-slim

# マイクロサービス:Alpineで最小化
FROM python:3.13.5-alpine

3. Debianコードネーム(bookworm等)は通常省略可能

  • python:3.13.5-bookwormpython:3.13.5 は同じ
  • 特定のDebianバージョンに依存する場合のみ明示的に指定

4. Alpineのバージョン指定

  • python:3.13.5-alpine で十分(最新のAlpineを使用)
  • python:3.13.5-alpine3.22 は特定のAlpineバージョンが必要な場合のみ

実用的な選択フローチャート

ステップ1: 用途を確認

  • 開発・テスト環境 → 標準イメージ
  • 本番環境 → Slim または Alpine
  • 極限の軽量化が必要 → Scratch

ステップ2: 互換性を確認

  • ネイティブ拡張を使用 → 標準 または Slim
  • Pure JavaScript/Python → Alpine も選択可能
  • 静的バイナリ → Scratch

ステップ3: リソース制約を確認

  • ストレージ容量に制限 → Alpine または Scratch
  • ネットワーク帯域に制限 → Alpine または Scratch
  • 制約なし → 標準 または Slim

まとめ

初心者の方は標準イメージから始めて、慣れてきたらSlimやAlpineに移行するのが現実的なアプローチです。

各イメージの選択基準:

  • 標準イメージ: 確実に動かしたい時
  • Slimイメージ: バランスを重視する時
  • Alpineイメージ: サイズを最優先する時
  • Scratchイメージ: 静的バイナリで極限の軽量化が必要な時

プロジェクトの要件と制約を考慮して、最適なイメージを選択しましょう。不明な点があれば、まず標準イメージで動作確認してから、段階的に軽量化を進めることをお勧めします。

またこのほかにもいくつかイメージが存在していますが、基本この4つのどれかを採用しておけばよいと思います

ではまた

 

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