こんにちは、サイオステクノロジーの遠藤です。
最近はブログ執筆に精力的に取り組んでおり、キーボードでたくさんの日本語を打ち込んでいます。日本語を入力する機会が多い方なら入力効率をあげる方法はないかな?と考えたこともあると思います。
今回はそんな方におすすめな、一般的な配列を乱さず打鍵効率を上げてくれる拡張ローマ字入力AZIKをご紹介します。
AZIKとは?
AZIKは、一般のローマ字入力のキー配列をそのままに、日本語によく出てくる文字列(読み)を2〜3ストロークで打てるようにし、さらに打ちにくいパターンの互換キーを提供する拡張ローマ字入力です。
例えば、「入場券」というキーワードを入力する場合を考えてみます。
通常のローマ字で入力する場合、「NYUUJOUKEN」と11回のストロークが必要となります。
一方AZIKを利用した場合「NGHJPKD」の7ストロークで入力することが可能で、通常のローマ字入力と比べて4文字もストローク数を減らすことができます。
AZIKを利用されたことがない方だと、どういう仕組みでこのような入力になるのかさっぱりわからないと考えると思われますし、このようなルールを覚えるのは大変そうといった印象を抱かれると思います。が、実はこのルールの覚えやすさに配慮されている点がAZIKの特徴です。
AZIKでは1ストローク目は通常のローマ字と同様に子音の決定に使用されます。そして2ストローク目は文字の意味からではなく、実際の打鍵の指の動きによって決定されます。そのため、通常のローマ字入力のタッチタイピングができている人であればAZIKの基本については1時間程度で習得することが可能です。
また、ひとつのルールを除いて通常のローマ字と共存が可能のため、AZIK特有の入力方法を忘れてしまった場合、通常のローマ字入力を使用することも可能です。そのため導入のため一気にすべてのルールを覚える必要がなく、段階的に通常のローマ字入力からAZIKに移行することが可能です。
注意点としては、通常のローマ字の指の動きをベースにしているため、通常のローマ字のタッチタイプがある程度できる方じゃないと効果を発揮できません。AZIKに挑戦したい方はまずはタッチタイピングを身に付けてから挑戦しましょう。
作者様の解説書 : 拡張ローマ字入力 AZIK
AZIKの入力方法
まずはこれだけは覚えよう 「っ」の入力方法
まず通常のローマ字入力と大きく違う点として、「っ」の入力を行うときには「;」キーを使用します。この変更によるメリットとしては、「あっ」といった「母音 + 子音」といった組み合わせの場合の入力が大幅に早くなります。このルールが先程あげていた通常のローマ字入力と共存出来ないルールです。「ssa」で「っさ」と入力することができなくなるのでこのルールだけは最初に習得する必要があります。
拡張キー
日本語には出現頻度が高い「読み」があります。たとえば、「かん」、「さい」などは非常に出現頻度が高い文字列で、これらのパターンには、「2文字めに《ん》がくるパターン」と「二重母音」のパターンが多いです。そこで、ローマ字テーブルを拡張する基本方針としてこれら2つのパターンの文字列の入力を2ストロークキーで打てるようにされています。
撥音拡張
「2文字めに《ん》がくるパターン」の打ち方です。これを撥音拡張といいます。
撥音拡張ではローマ字の2ストローク目の母音キーの代わりに、その母音キーの下のキーを使います。
たとえば「かん」を打つには、1ストロークめの子音は「K」そのままですが、2ストロークめは「A」の下のキーの「Z」を使います。つまり「KZ」と打ちます。「か」を打つのと同じ指使いで、2ストローク目の左の小指を一段下にずらすと「かん」になります。
機能 | キー | 覚え方 |
---|---|---|
ann | Z | Aの下 |
inn | K | Iの下 |
unn | J | Uの下 |
enn | D | Eの下 |
onn | L | Oの下 |
単独の「ん」はQを使います。これは以下のように、「母音+ん」を打つときに使います。
あん(AQ)、いん(IQ)、うん(UQ)、えん(EQ)、おん(OQ)
※単独の「ん」は通常のように「NN」で打っても構いません。
また、 AZIKの原則ではAの下のZを「あ段」の撥音拡張に使いますが、この原則では「さん、だん、わん」など、1ストローク目の子音キーが左手に位置する文字は非常に打ちにくくなります。そこで、1ストロークめの子音が左手になる行の「あ段撥音拡張キー」は「N」で代用できるようにしてあります。(撥音互換キー)
読み | 入力 |
---|---|
だん | DN |
がん | GN |
ざん | ZN |
さん | SN |
たん | TN |
わん | WN |
らん | RN |
二重母音拡張
[ai][uu][ei][ou] などの二重母音が含まれる場合の打ち方です。原則は対応する母音キーの(下以外の)すぐ近くのキーを使います。たとえば「さい」を打つには、さ行の子音キーの「S」と、「A」の上のキー「Q」、つまりSQと打ちます。「さ」を打つ指使いで、2ストローク目の左の小指を一段上隣りにずらすと「さい」になります。
機能 | キー | 覚え方 |
---|---|---|
ai | Q | Aの上隣り |
uu | H | Uの斜め下隣り |
ei | W | Eの左隣り |
ou | P | Oの右隣り |
あ行の二重母音「あい」「うう」「えい」「おう」は、普通のローマ字のように、それぞれ、AI、UU、EI、OUと打ちます。
特殊拡張
頻出文字列の中には、「もの」「こと」などのように、撥音でもなければ、二重母音でもないパターンがあります。これらの文字列も次のように2ストロークで打てるようになっています。 これらの拡張を《特殊拡張》と呼びます。特殊拡張は、前述の撥音拡張や二重母音拡張とちがって文字のイメージから連想できるようになっています。
KT | こと | ST | した | TT | たち | HT | ひと |
---|---|---|---|---|---|---|---|
WT | わた | MN | もの | MS | ます | DS | です |
KM | かも | TM | ため | DM | でも | KR | から |
SR | する | TR | たら | NR | なる | YR | よる |
RR | られ | ZR | ざる | MT | また | TB | たび |
NB | ねば | BT | びと | GR | がら | GT | ごと |
NT | にち | DT | だち | WR | われ |
その他
- 外来語に多い特殊な拗音のうち、ウォ、ティ、ディなどは以下のように、1ストロークめの子音キーに続けてその下のキーを打ち、その後母音キーや拡張キーを打ちます。
ウォ | WSO | ティ | TGI | ディ | DCI |
---|
- 特に外来語にしか見られない読みは直接長音記号が入力されるようにしてあります。
ウォー | WP | フォー | FP |
---|
- それでもまだ打ちにくいパターンでは個別に次のような形で打てるようにしてあります。
わい | WF(WQ) | ||
---|---|---|---|
さい | SF(SQ) | せい | SS(SW) |
ざ | ZC(ZA) | ざい | ZV(ZQ) |
ぜ | ZF(ZE) | ぜい | ZX(ZW) |
AZIKの導入の仕方
AZIKを利用するにはIMEに対してAZIK用のローマ字テーブルを設定して上げる必要があります。私の場合は日本語入力としてGoogle日本語入力を使用しているので、Google日本語入力での導入方法を紹介します。
まず設定用のtxtファイルをダウンロードしてください。
続いて右下の「あ」を右クリックして、「プロパティ」を開きます。

「ローマ字テーブル」の「編集」をクリックします。

ポップアップが表示されたら、「編集」をクリック後、「インポート」を選択します。ポップアップで「現在のローマ字テーブルを上書きしますか?」と出てくるので、「OK」を選択後、先ほどダウンロードしたファイルを選択します。その後、「適応」をクリックすることでAZIKが使用可能になります。
まとめ
今回は、標準的なローマ字入力よりも効率的に日本語を入力できる拡張方式 AZIKについてご紹介しました。慣れるまでは少し時間がかかるかもしれませんが、AZIKを導入することで大幅に入力速度を向上させることが可能ですので是非1度試してみてください。
また、AZIKをさらにカスタマイズしてより多くの単語を2語で入力できる拡張AZIKなるものを考えている方もいらっしゃるみたいなので今回の記事で興味を持った方はそちらも調べてみると、さらなる入力速度向上を目指せるかもしれません。
ではまた~