【第3回】 Linux/OSS エヴァンジェリスト古賀政純の 『オープンソース・Linux超入門』~「CEOが知っておくべきオープンソース革新」(後編)~

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今回のゲストブログは、日本ヒューレット・パッカードが公式に認定するオープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリストで、Hadoopの技術者認定資格を保有する古賀政純さんです。オープンソースにこれから取り組もうとしている方々や、もう一度基本から学びたいという方々からのご要望にお答えして、『オープンソース・Linux超入門』を連載していただいております。今回は、3週連続で連載している「CEOが知っておくべきオープンソース革新」の最終回です。オープンソースを取りまく企業の在り方、技術者の存在意義、欧米における技術者のコミュニティとオープンソース技術の現在をご紹介します。(2016年5月25日)

民間もオープンソースを駆使したハイブリッド型インフラの時代

米国国防総省は、UNIXシステムに加え、オープンソースソフトウェアをベースとした仮想化基盤とクラウド基盤のハイブリッド型で運用されていますが、今、欧米では、数多くの民間企業でハイブリッドクラウド基盤を見据えたソフトウェアが必要とされています。

たとえば、ポスト仮想化を言われているコンテナ技術のDocker(ドッカー)基盤に対応したConvoy(コンボイ)と呼ばれるバックアップツールは、企業内だけでなく、インターネットを介して企業外に設置したパブリッククラウド基盤へのデータのバックアップもサポートしています。

また、DockerのGUI管理ツールは、最初からハイブリッド型インフラが前提になっているものもあります。これからのConvoyやDockerのGUI管理ツールなどのオープンソースソフトウェアは、前提として、ハイブリッド型インフラをターゲットにしています。

ハイブリッド型基盤というと、現在は、プライベートとパブリックの併用というイメージですが、今後は、データ容量の増加やセキュリティの観点から、Amazonのパブリッククラウドで稼働していたアプリをそのままプライベート基盤で稼働できるようにするEucalyptus(ユーカリプタス)と呼ばれるAmazonクラウド互換のオープンソースソフトウェアの発展も期待されています。

Eucalyptusは、米国ヒューレットパッカードエンタープライズが買収しましたが、弊社のWebサイトで概要を見ることができますので、一読することをお勧めします。また、先述のConvoyについては、筆者がITmediaで記事を掲載していますので、是非ご覧ください。

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筆者が執筆したConvoyの記事:

https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1511/25/news013.html

https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1512/09/news001.html

Amazon互換のAPIを提供するEucalyptus:

https://www8.hp.com/jp/ja/cloud/helion-eucalyptus-overview.html

 

OSSを推進するHPEだが、自社のプロプラエタリ製品の事業に影響はないのか?という疑問

今までの米国国防総省などの事例から、HPEがオープンソースに注力していることが理解できたかと思います。しかし、HPEは、古くから、OpenView(オープンビュー)のようなHPE独自開発の管理ソフトウェア製品群を有しており、多くの企業で採用されています。

ここで、素朴な疑問が沸いてくる人もいるかと思います。それは、「HPEは、オープンソースを推進しているが、開発したプロプラエタリソフトウェアのビジネスに影響はないのだろうか?」ということです。たしかに、オープンソースソフトウェアとHPE独自開発のソフトウェアは、機能面で競合する場合もあります。

しかし、現在、HPEでは、プロプラエタリソフトウェアとオープンソースソフトウェアを組み合わせてお客様にご提案することが非常に多くなっています。たとえば、欧米では、異なる種類のクラウド環境、仮想化環境、異機種混在、パブリック、プライベートクラウドが複数乱立し、サイロ化するということも珍しくありません。

データの相互利用などの目的を達成するために、社内標準化を推進するには、そのようなサイロ化したクラウドをさらにまとめる統合ソフトウェアが必要になります。そのような場合、全てをオープンソースソフトウェアで統合することはかなりの困難を伴います。

そこで、HPEの場合は、HPE Cloud Service Automation(通称CSA)とばれるクラウドサービスの統合管理、自動化ソフトウェアで、オープンソースを含めたヘテロ環境を管理し、まとめることができるようにお客様にご提案しています。

ですので、逆に、オープンソースの機能不足を自社ソフトウェアで補完するという考え方でお客様に提供することができ、オープンソースとの組み合わせは、自社のソフトウェアビジネスの発展に大いに寄与しているのです。

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以上で、オープンソースを取りまく企業の在り方、技術者の存在意義、欧米における技術者コミュニティとオープンソース技術の現在をざっくりとお話しました。

次回からは、技術者向けの内容です。より具体的に、Linuxサーバーやオープンソースソフトウェアの導入の考慮点、勘所、商用OS、無償OS、運用管理の手法、Webサービスの基礎など、オープンソースやLinuxを取り巻く非常に基礎的な情報を筆者の経験を交えつつお伝えします。お楽しみに。

 

 

【筆者プロフィール】

古賀政純(こが・まさずみ)
日本ヒューレット・パッカード株式会社
オープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリスト

兵庫県伊丹市出身。1996年頃からオープンソースに携わる。2000年よりUNIXサーバーのSE及びスーパーコンピューターの並列計算プログラミング講師、SIを経験。2006年、米国ヒューレット・パッカードからLinux技術の伝道師として「OpenSource and Linux Ambassador Hall of Fame」を2年連続受賞。プリセールスMVPを4度受賞。

現在は、日本ヒューレット・パッカードにて、Hadoop、Spark、Docker、OpenStack、Linux、FreeBSDなどのサーバー基盤のプリセールスSE、文書執筆を担当。日本ヒューレット・パッカードが認定するオープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリストとして、メディアでの連載記事執筆、講演活動なども行っている。Red Hat Certified Virtualization Administrator, Novell Certified Linux Professional, Red Hat Certified System Administrator in Red Hat OpenStack, Cloudera Certified Administrator for Apache Hadoopなどの技術者認定資格を保有。著書に「Mesos実践ガイド」「Docker 実践ガイド」「CentOS 7実践ガイド」「OpenStack 実践ガイド」「Ubuntu Server実践入門」などがある。趣味はレーシングカートとビリヤード。

 

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